ドキュサインの電子署名で不動産管理業務を革新する湘南らいふ管理
神奈川県の湘南エリアを中心に、「オーダーメイド賃貸管理システム」という独自の不動産管理業務による収益性の高い賃貸経営で、不動産オーナーから高い支持を得ている株式会社湘南らいふ管理。同社は、2017年にドキュサインの電子署名を導入して、不動産賃貸の契約更新や解約申請をオンライン化し、国土交通省が推進する「ITを活用した重要事項説明等に係る社会実験」にも意欲的に取り組んでいます。
ドキュサインの電子署名で不動産管理業務の効率化を実現
湘南らいふ管理の取締役である廣瀬一寛氏は、2017年に同社がドキュサインを導入した背景について、次のように振り返ります。
「ドキュサインを導入した当時、弊社は 2015 年の創業からわずか 3 年で管理戸数を 4000 戸まで伸ばしていました。一般的な不動産管理会社であれば、さらに業務を拡大するためには、管理戸数の増加に比例して社員や外部委託先などを増やし、売上を拡大しようと考えます。しかし、社員や外部委託先を増やしてしまうと、利益が圧迫されます。このジレンマを解決するためには、人でなくてもできる業務はできるだけIT化し、人でないとできない業務に力を注ぐべきだと考えたのです。」
同社が 3 年という短期間で管理戸数を急増させた背景には、賃貸経営の業務に煩わしさを感じている不動産オーナーに代わり、必要な業務を引き受ける充実したサービスの提供があります。不動産オーナーを大切にするという経営理念を掲げながら、業務革新を推進してきた廣瀬氏は「比較的ルーティーン業務の多い賃貸の更新業務をITで効率化できれば、人員を増やさずに管理戸数を増やし、業務を拡大することができると考えていました。そんな中、米国の不動産業で実績のあるドキュサインのワークショップに参加し、『これは使えるな』と思い導入を決めました」と経緯を説明します。
国交省の社会実験にも参加し2020年には800事例を達成
ドキュサインの導入においては、不動産取引のデジタル化やコンサルティングを行う外部のシステムインテグレータの協力を得ました。これにより、ホームページ上で賃貸物件の「更新申込」および「解約申込」の手続きが簡単にできるようになりました。廣瀬氏は「電子化により、書面で回収していたものをドキュサインで処理できるようになり、賃貸契約の更新や解約に関わる業務の効率化を実現できました。これまでは、手書きによる書き損じや、印鑑漏れに提出漏れなど、人的なミスが発生していましたが、電子化により見落としや漏れなどがなくなり、負担が大きく減りました。一方、電子化にあたっては、導入当初は手間が増えたり、法整備の関係でしばらくは二重の処理などが必要になります。しかし、業務全体を俯瞰して捉え、トータルでの効率化やミスの予防といった効果も踏まえて、導入を検討するべきだと思います」と話します。
同社は積極的に業務の電子化を進めていますが、一部では紙の書類が必要になっている現状を変えていくために、国土交通省の「IT を活用した重要事項説明等に係る社会実験」にも参加しています。そして、2020年には800件の事例を報告し、不動産業界のIT化をリードしています。廣瀬氏は「数多くの事例を通して、問題点を洗い出していかなければ、法律も改正されないのです。我々は、不動産業界全体を良くしていきたい、という使命感で社会実験に参加して、積極的に電子契約を実践しています」と取り組みの意義を語ります。
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進む不動産業界のDX。社員が本業に集中できる働き方の推進へ
国土交通省では宅地建物取引業法にかかるITを活用した重要事項説明等に関する取り組みを進めており、賃貸取引及び売買取引を対象に、テレビ会議システムやテレビ電話などを活用したIT重説や電子署名サービスなどを利用した電子書面の交付の社会実験を実施しています。
また、コロナ禍は入居者の意識にも変化をもたらしています。廣瀬氏は「具体的な統計までは取っていませんが、昨年はオンラインでの契約更新を利用する入居者が多かったと感じています。電車に乗ってわざわざ管理会社に来る手間をかけるよりも、オンラインで更新できた方が、便利で楽で安心だと考える入居者が増えていると思います。デジタルに明るい世代が入居者の中心になっていけば、この傾向はコロナ禍が収束しても、加速していくと思います」と話します。
さらに今後に向けては「ドキュサインのようなデジタルツールによる電子化には、ピンポイントではなく業務全体を俯瞰して、効果を図っていく経営戦略とビジョンが求められます。我々は、電子化によって社員のバックオフィス業務の負担を減らし、それによって生み出された時間をより多く、オーナー様への相談や提案といった目的に使えるように心がけています。こうした働き方の改革は、ひいては不動産業界に優秀な人材を惹き寄せる一助になると考えています。そのためにも、法改正を見据えた不動産管理業務のデジタルトランスフォーメーションを今後も積極的に推進していきます」と廣瀬氏は展望を語ります。
ドキュサインのようなデジタルツールによる電子化には、業務全体を俯瞰して、効果を図っていく経営戦略とビジョンが求められます。
廣瀬一寛 氏取締役, 株式会社湘南らいふ管理