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印鑑の上下を見分ける「アタリ」とは?アタリの有無の理由が意外だった…

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日本の商習慣に深く根付いているハンコ文化。いざ印鑑を押す際、「どっちが上?」と迷ったことがある方も多いのではないでしょうか?本記事では、印鑑の上下の向きを見分ける「アタリ」について、その種類やメリット、アタリがついていたり、ついていなかったりする理由を紹介します。

目次

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契約書に押印する人

最近では行政手続きでの認印が廃止されたり、オンライン上で使用できる電子印鑑が普及するなど、ハンコのあり方も大きく変わってきています。しかし、ビジネスや日常生活の中では、印鑑を押す場面はまだまだ多くあります。いざ押印する際、「あれ?どっちが上?」と迷ったことがある方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、印鑑の上下の向きをわかりやすくするための「アタリ」について、その種類やメリット、アタリがついていたり、ついていなかったりする理由を紹介します。

押印前にアタフタ!印鑑の上下がわからない…

契約や申し込みだけでなく、宅配便の受け取りや社内決裁など、私たちはさまざまなシーンで印鑑を使っています。特に重要な書類では、まっすぐ間違いなく印鑑を押さなければならないと意識するあまり、緊張してしまうこともあるでしょう。

また、印鑑に彫られている文字は「篆書(てんしょ)」という書体が使われていることが多く、パッと見ただけでは文字の上下を判断することが難しいのが実状です(ちなみに、日本銀行発行のお札に印刷されている印鑑の書体も篆書体です)。

法律上は、ズレやかすれがなく鮮明に押印できていれば上下が間違っていても有効です。しかし、礼儀や見た目の問題から上下間違いなくまっすぐ押すことが美徳とされています。そこで知っておきたいのが「アタリ」です。

おすすめ記事:知っていますか?「押印」と「捺印」の違いとは

意外と知らない!?印鑑の「アタリ」とは

「アタリ」とは、印鑑の上下を間違えないように付けられた“しるし”のことで、上方向を示す部分に溝が彫られていたり、突起物が埋め込まれています(「鈴木」の場合、印面の「鈴」が上、「木」が下)。業界では「サグリ」と呼ばれることもあります。

印鑑を押すとき、上下の向きを目視で確認していては効率が悪くなります。しかし、「アタリが付いている方が上方向(自分から遠い方)」ということを知っていれば、印鑑を持った時に指先で向きが確認できるのでストレスなく押すことができます。

アタリの種類もさまざまですが、大きく分けると「削り」と「埋め込み」があります。

削りタイプのアタリ

印鑑のアタリ(削りタイプ)

丸型の印鑑によくみられます。本体の側面を削って溝を作ったもので、文具店などで売っている印鑑はこのタイプが主流です。印鑑で削った部分に「丹」と呼ばれる金属を入れたものもあります。

埋め込みタイプのアタリ

法人印のような四角形の印鑑のアタリは、黒や白の樹脂製の突起をつけたものが一般的です。また、丸型の印鑑ではスワロフスキーや宝石などをアタリとして埋め込み、機能性だけでなく使い手の個性を出せるこだわりの印鑑もあります。

印鑑のアタリ(埋め込みタイプ)

「アタリ」がある?ない?その意外な理由とは?

印鑑をお持ちの方は、一度ご自分の印鑑を確認してみてください。アタリはついていましたか?

現在日本で流通している印鑑には、アタリがついているものとついていないものがあります。以前は、ほとんどの印鑑にアタリがついていましたが、最近では「あえてアタリはつけない」「つけることもできるが、基本はアタリなし」という店もあります。

開運ブームで「アタリ」が消えた!?

アタリなしの印鑑が増えた理由の一つとして、昭和40年頃から流行りはじめた「開運ブーム」が関わっていると言われています。「印相印」という名前でアタリなしの開運印鑑が売られるようになったのがきっかけのようです。

では、なぜアタリがない印鑑が開運につながるとされたのでしょうか。それは、印鑑=自分の身体という考えのもと、アタリを付けることは自分の身体を傷つけることになるので縁起が悪いと避けられるようになったからです。加工されていない印鑑が良い印鑑だと売り出され、特に実印や銀行印でアタリなしの印鑑が多く流通するようになりました。

印鑑を押す前に自分の意思を再確認

「自分の意思を再確認する」という意味でアタリをつけないという考え方もあります。「印鑑を押す」のは、何らかの合意をする場です。つまり、「(契約書の)内容を十分に理解して、承諾しました」という証になるのです。そのため、アタリに頼らず上下を目視で確認することで、「本当に印鑑を押していいのか」と自分の意思を再確認する時間を与える効果があります。

印鑑の用途によって変わるアタリの有無

不動産契約など重要な場面で使うことの多い実印や銀行印は、前項で紹介したような「開運」や「意思の再確認」といった理由でアタリなしの印鑑が好まれることが多いようです。使う頻度がそれほど多くないのと、印鑑登録証明書など、行政機関や銀行に登録をするような印鑑は「一生もの」として購入する人が多いことも理由の1つでしょう。

一方で、日常生活で広く使われている「認印」は、使用頻度が高い印鑑ということもあり「アタリ付き」の印鑑が多く流通しています。認印は100円ショップでも売っているほど身近で、会社や自宅、カバンの中など、複数本持っている方も多いのではないでしょうか。例えば、社内決裁で印鑑を押すためにその都度上下を確認していたら業務効率が悪くなることもあり、アタリ付きの印鑑が活用されるケースが多いようです。

「アタリがついているからダメ」「アタリがないから優れている」というわけではありません。印鑑を選ぶ際は、用途や自分の考え方に合ったものを選ぶとよいでしょう。

おすすめ記事:「実印」と「認印」の違いとは?知っておきたいハンコのQ&A

「アタリ」がついている印鑑のメリット

では、アタリがついている印鑑にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

効率よく押印できる

認印のように使う機会の多い印鑑や、社内決裁で利用する印鑑の場合は、アタリがついていることで作業効率を向上することができます。

実印のように使用頻度が低い印鑑でしたら、アタリがなくても契約や申し込みの場でゆっくりと確認し押すことができますが、認印を使うのは時間を取られたくない場面が多いでしょう。そのような場面でアタリ付きの印鑑が重宝します。

個性が出せる

お気に入りのジュエリーや誕生石を埋め込んで、自分だけのアタリ付き印鑑を作ることができます。

また、同居している家族がいる場合、同じ苗字の印鑑がたくさんあっては、どれが誰の印鑑かわからなくなってしまいます。例えば、夫婦で色違いのジュエリーでアタリをいれれば、同じ素材であっても見分けがつきやすく、お揃い感を出すこともできます。

工夫が満載で奥深い「印鑑」

古来から現代まで使われ続けている「印鑑」には、さまざまな工夫が凝らされています。アタリもその一つであり、今なお時代に合わせた進化を続けています。『日本のハンコはこんなに面白い!印鑑トリビア』では、印鑑の起源から日本のハンコ文化まで、意外と知らないハンコの豆知識を紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

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