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GX(グリーントランスフォーメーション)とは?定義や目的を解説!

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近年、よく見聞きする「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉。「GX」に注目が集まっている理由を探るとともに、GX実行会議やGXリーグといった政府の取り組みや日本企業の事例を紹介します。

目次

近年、「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉をよく見聞きするようになりました。GXとは、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた取り組みですが、具体的にはどのような活動を示すのでしょうか?本記事では、GXが提唱されるようになった背景や現在の動き、未来に向けてどのような影響を及ぼすかを解説していきます。

「GX(グリーントランスフォーメーション)」とは

経済産業省のWebサイトによると、GXは「企業に対して日本政府が推進を促している、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと」と定義づけられています。ポイントは、GXを通して社会全体を大きく変革しようとしている点です。企業ごとの個別の取り組みにとどまらず、生活者の意識や行動の変容までを視野に入れ、さまざまなステークホルダーと連携しながら社会の仕組みや流れ自体を変えようとしています。また、GXに伴う活動を経済成長の機会にするという狙いも明言されています(※1)。

なお、GXと似た言葉として「DX」や「SX」があります。DX(Digital Transformation、デジタル・トランスフォーメーション)はデジタル技術を活用して社会や企業のビジネスモデルや業務プロセスを変革すること、一方、SX(Sustainability Transformation、サステナビリティ・トランスフォーメーション)は企業が環境・社会のサステナビリティにつながる経営をしながら企業価値を高めていく取り組みを指します。GX、DX、SXには共通点もあり、社会の仕組みや流れの変革を目指している点は同じです(※2)。

日本でGXが推進される背景 

日本でGXが呼びかけられるようになった背景には、政府が宣言した「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という約束があります。

現在、地球温暖化による影響の深刻化に伴い、世界中の国・地域、企業、市民が喫緊の課題として温室効果ガスの削減に取り組んでいます。そうした温室効果ガス削減の取り組みのキーワードとなっているのが「カーボンニュートラル」という考え方です。これは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにして、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることです。2021年11月時点で140カ国以上が「2050年までのカーボンニュートラル」を表明しています。日本は2020年に、国として2050年までにカーボンニュートラルを実現することを国際的に約束しました(※3)。この約束を実現するためには、温室効果ガスを出さないクリーンエネルギーをこれまで以上に推進し、経済社会システム全体を変える必要があります。そこで、2022年7月、日本政府は「GX実行会議」を設置し、12月にはGX実現に向けた基本方針(案)をまとめ、2023年2月に閣議決定しました。

おすすめ記事:「地球温暖化」から「地球沸騰化」の時代へー今とるべき対策とは?

日本政府によるGX関連の取り組み

2050年までのカーボンニュートラルに向けた、日本政府のGX関連の取り組みとしては、主に以下があります。

GX実行会議(施策を検討する場)

GX実行会議は、GXの実行のために必要な施策を検討するための会議で、2022年7月、官邸に設置されました。2023年12月までに10回開催されています。議長を内閣総理大臣が、副議長をGX実行推進担当大臣兼経済産業大臣、内閣官房長官が務め、外務大臣、財務大臣、環境大臣と有識者が参加しています。有識者は大学、エネルギー関連企業、消費者団体、銀行など多様な分野から選ばれています(※4)。

GXリーグ(GXに積極的な企業が集まる場)

GXリーグはカーボンニュートラルへの移行に向け、志を同じくする企業群が集い、GXを牽引することを目指した枠組みです。2022年2月に経済産業省の産業技術環境局が発表した「GXリーグ基本構想」に440社が賛同し、2022年6月に発足、2023年4月から本格的な活動を開始しました。

具体的に、GXリーグでは以下の4つの場を設定しています。

  1. 自主的な温室効果ガス排出量取引の場

  2. 新たなビジネスモデルづくりや市場ルール作りを行う場(例:CO2ゼロ商品の認証制度など)

  3. 未来のビジネス機会の創造・共有の場(スタートアップ企業や起業家と連携し、議論を進める)

  4. 参画企業間の自由な交流の場(ディスカッションや情報交換を行う)

これらの場の運営を通じ、企業群が官・学と協働しながら企業・生活者の意識・行動変化を促し、2050年のカーボンニュートラルを実現しようとしています(※5)。

GXリーグが目指す世界観

GX関連2法の成立

2023年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」を実現する法律として、同年5月に以下の法律が成立しました。

  1. GX推進法:①GX推進戦略の策定、②GX経済移行債の発行、③カーボンプライシングの導入④GX推進機構の設立(=後のGXリーグ)などについて規定した法律(※6)

  2. GX脱炭素電源法:脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るため、電気事業法などの一部を改正する法律。地域と共生した再生可能エネルギーの最大限の導入促進、安全確保を大前提とした原子力の活用・廃炉の推進について規定(※7)

財政支援策

GXを推進するために、さまざまな財政支援制度が設けられました。以下に代表的なものを挙げます。

  • グリーンイノベーション基金事業(経済産業省)

  • クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(経済産業省)

  • 商用車の電動化促進事業(経済産業省)

  • 住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業(経済産業省)

  • 地域脱炭素の推進のための交付金(環境省)

  • 革新的GX技術創出事業(GteX)(文部科学省)

環境省の施策

2022年2月、環境省に「環境省 中央環境審議会 地球環境部会・総合政策部会 炭素中立型 経済社会変革 小委員会」が設置されました。その後、同年12月に同委員会での議論のとりまとめとして「GXを支える地域・くらしの脱炭素~今後10年を見据えた取組の方向性について~」を公表し、特に地域・くらしにおけるGXの取り組みを支援しています(※8)。

日本企業の取り組み事例

日本企業によるGXの取り組みとしては、以下のような事例があります(※2)(※9)。

  • 再生可能エネルギーのみでの電気自動車の充電を目指す取り組み(日産、トヨタなど)

  • 海の上に浮かぶ風力発電装置「浮体式洋上風力発電」の技術開発(日立造船や三井海洋開発、ジャパン マリンユナイテッド、東京電力リニューアブルパワーなど)

  • CO2を回収し、グリーン水素と化合させて合成燃料や持続可能航空燃料(SAF)、合成メタンなどを製造する技術の開発(ENEOS、出光興産、大阪ガス、東京ガス、古河電気工業など)

GXのメリットと課題

GXに取り組むと、企業側には次のようなメリットがあります。まず、原油価格の変動などに左右されない再生可能エネルギーを導入することで経営が安定します。また、ESG投資家からサステナビリティに積極的に取り組んでいると評価され、より多くの投資につながる可能性が高まるでしょう。カーボンニュートラルが進むことで創出される新たな需要・市場のニーズにも応えられるようになります。

一方で課題もあります。GXを実現するには太陽光パネルの設置などの設備投資や専門家による技術開発が行われますが、多くの場合、多額の予算が必要になります。また、GXでは原子力発電所はクリーンエネルギーの1つと位置付けられていますが、それに反対する世論も少なくありません。さらに、GX脱炭素電源法では従来最長60年だった原子力発電所の運転期間の延長が認められていますが、これに対する反発意見もあります(※2)(※9)。

GXの今後

GXは、クリーンエネルギー活用によるカーボンニュートラルの実現を目指す、持続可能な社会への変革をけん引する取り組みです。社会を変えるには官民が一体となって取り組むことが重要なので、GXは必要不可欠な動きだと言えます。

しかし、前述したような課題もあります。課題をないがしろにせず、企業や生活者の声を丁寧に聞き、解決策を模索しながら共にGXを進めていくーそんな真摯な姿勢で取り組みを続けていけば、2050年のカーボンニュートラルが現実のものとなるでしょう。

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出典:

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