日本の経済成長を目指す!改正産業競争力強化法のポイントを解説
2021年6月9日、改正産業競争力強化法が成立し、6月16日に公布・施行されました。産業競争力強化法は日本経済の低迷からの脱却を図ることを目的に2013年に成立した法律ですが、今回の改正ではどのような政策が盛り込まれたのでしょうか。本記事では、産業競争力強化法が制定された背景から改正のポイントまで詳しく解説します。
2021年6月9日、参議院本会議で改正産業競争力強化法(産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律)が可決・成立し、6月16日に公布・施行されました。2021年1〜3月期の国内総生産(GDP)で実質年率比5.1%減と、大幅な落ち込みを見せた日本経済。改正産業競争力強化法は、そうした経済の低迷を脱却し、ニューノーマルにおける「新たな日常」に向けた構造変化を図ることが目的とされています。では、改正産業競争力強化法には、具体的にどのような政策が盛り込まれているのでしょうか。
本記事では産業競争力強化法が制定された背景やその目的、今回の改正のポイントについて解説します。
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産業競争力強化法とは?成立背景や目的を解説
産業競争力強化法は、2013年に安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の一環として成立し、翌年2014年に施行された法律です(※1)。産業競争力強化法が成立した背景には、長年続く日本経済の低迷がありました。産業競争力強化法では、日本経済の成長を妨げているのは3つの「過」(過少投資、過当競争、過剰規制)であるとして、その解消を法律の目的としています。具体的には、設備投資の活性化や産業の新陳代謝を図るため、規制改革や新事業活動や中小企業を支援する措置などが定められています(※2)。
2018年には、官民ファンドである産業革新機構を産業革新投資機構に改め、複数の官民ファンドを統合・集約するといった改正法が施行されています。
改正産業競争力強化法の5つのポイントを解説
それでは、今回の改正法にはどのような政策が盛り込まれているのでしょうか。
改正産業競争力強化法のポイントは以下の5点です(※3)。
「グリーン社会」への転換
「デジタル化」への対応
「新たな日常」に向けた事業再構築
中小企業の足腰の強化
「新たな日常」に向けた事業環境の整備
①「グリーン社会」への転換
「グリーン社会」への転換では、企業に温室効果ガスの排出削減や吸収などを促す、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが推進されます。企業がカーボンニュートラルにつながる製品の生産設備などに投資する場合などに、約10%の税額控除を行う税制を設けるほか、低利での金融支援を実施します。
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②「デジタル化」への対応
「デジタル化」への対応では、DXを推進する企業への支援を行います。具体的には、規定の要件を満たしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の施策について、300億円を上限として、投資額の3%(他社とのデータ連携に関するDXについては5%)の税額控除、または30%の特別償却が認められるなど、税制の面から企業のDXが支援されます(※4)。なお、この税制には2年間の時限措置が設けられており、企業の早期のDXを促すことになっています。また、今回の改正では、財政投融資を原資とした低利融資も行うなど、税制以外の面からも企業の「デジタル化」が推進されます。
尚、税制優遇が受けられる要件および詳細については『令和3年度税制改正 - 3 法人課税』で確認いただけます。
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③「新たな日常」に向けた事業再構築
「新たな日常」に向けた事業再構築では、カーボンニュートラルやDX、事業再構築等に取り組む企業に対して、赤字の場合でも、繰越欠損金の控除上限を引き上げるなどの支援を行います。特に、大企業については、現行の控除上限50%から最大100%までの大幅な引き上げが行われます。
④ 中小企業の足腰の強化
中小企業の足腰の強化では、M&Aを促進して中小企業の経営資源を集約する税制を敷くなどして、中小企業の労働生産性の向上、競争力強化などを進めます。そのほか、大企業と中小企業の取引の適正化や、中堅企業への金融支援の強化なども図られます。
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⑤「新たな日常」に向けた事業環境の整備
「新たな日常」に向けた事業環境の整備では、デジタル技術を活用した規制改革などが行われます。例えば、従来、上場企業の株主総会はオフラインでの開催が義務付けられていましたが、経産大臣及び法務大臣の確認を受けた場合、オンラインのみで開催する「バーチャルオンリー株主総会」が可能になりました(※5)。そのほか、SMSなどを用いてデジタル上で債権譲渡が可能となる特例措置などが取られています。
企業経営を有利に進めるために、法改正の動向にも注目を
デジタル技術の発展や急速なグローバル化など、企業を取り巻く事業環境は激しく変化しています。そうした状況の変化を受けて、産業競争力強化法をはじめとした国内の法制度が変化していることが分かります。事業を推進するうえでは、企業経営に関する法制度に精通しているのは大きな武器になるのではないでしょうか。
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参考: