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「稟議」と「決裁」の違いとは?それぞれの意味やメリット・デメリットを解説

Author 阿部 由羅
阿部 由羅ゆら総合法律事務所・代表弁護士
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「稟議」と「決裁」の違いをご存知ですか?いずれも社内における認識の共有や意思決定を行うためのプロセスですが、本記事ではそれぞれの意味やメリット・デメリット、電子化によってどのように稟議・決裁プロセスを効率化できるのかを解説します。

目次

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「稟議」と「決裁」は、いずれも社内における認識の共有や意思決定を行うためのプロセスです。一定規模以上の企業では、稟議または決裁のプロセスを導入すべきケースが多いでしょう。しかし、非効率な形で稟議や決裁が行われていると、うまく統制がとれず、大きなコストになりかねません。

本記事では、稟議と決裁について、両者の違いや必要性、コスト面、さらに稟議・決裁プロセスを効率化する方法など、知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

稟議と決裁の違い

「稟議」と「決裁」は、いずれも社内における認識を共有し、統一的な意思決定を行うためのプロセスです。稟議と決裁については厳密な定義がありませんが、おおむね以下のように使い分けられています。

稟議とは

「稟議(読み方:りんぎ)」とは、会社の活動などに関する起案書類を、役職者や役員などに回覧して承認を受けるプロセスです。日本では伝統的な会社を中心に、契約の締結や社内規程の変更などの重要事項から、簡単な業務報告に至るまで、幅広い事柄について稟議が行われる傾向にあります。

稟議は一般的に、以下の流れで行われます。

稟議の流れ
  1. 起案:起案者が稟議書を作成します。比較的若手の従業員などが起案者となるケースが多いです。

  2. 稟議:稟議書を関係者に回覧します。下位の者から上位の者へ順に回覧するのが一般的です。回覧の際、稟議書の内容に問題がないかをチェックし、必要に応じて修正を指示します。修正がなされた場合は、再度すべての関係者に回覧します。

  3. 承認:稟議書の内容に問題がなければ、承認者は押印やサインなどで承認の意思を明示します。

  4. 決裁:すべての関係者の回覧が完了したら、最後に決裁者が稟議書をチェックし、決裁を行います。

上記のとおり、稟議は決裁者(会社の活動について意思決定を行う権限を有する者)だけでなく、承認者となるその他の関係者による回覧も行われる点が特徴的です。

決裁とは

「決裁(読み方:けっさい)」とは、決裁者がその他の者によって提案された事項を承認・決定することをいいます。

決裁は、稟議においてもプロセスの最終段階に位置づけられます。その一方で、稟議を行わない場合でも、提案者と決裁者が異なる場合の意思決定は「決裁」にあたります。稟議の形式をとらなかったとしても、決裁者に提案する前の段階で、関係者による水面下の調整が行われるのが一般的です。その後、調整後の事項を決裁者に対して提案しますが、稟議書のように詳細な起案は必要とされないケースがほとんどです。

稟議・決裁はなぜ必要なのか?メリットとは?

日本では、規模の大きな会社では稟議が行われる傾向にありますが、比較的小規模な会社では、稟議を経ずに決裁のみが行われるケースも見られます。

稟議を行うべき理由

稟議を行う場合、回覧される稟議書は詳細に起案することが多いです。

<稟議書の記載事項の例>

  • 起案者(誰が稟議書を起案したか)

  • 件名(稟議事項を一言で表したもの)

  • 詳細理由(稟議事項の内容・目的・メリットを具体的に、わかりやすく)

  • 懸念事項(デメリットやその解決策など)

  • その他(時期、委託先業者、予算など)

稟議書のメリットは、複数の関係者間で齟齬なく認識を共有しやすくなる点です。最終的な決裁者の決裁により、会社としての意思決定の統一性も確保されます。また、稟議書をもって情報共有を済ませることにより、会議などに要する時間を節約し、スムーズに具体的な活動等へ着手できます。特に規模の大きな会社では、一般社員から管理職、役員まで多数の関係者が連携して業務を行うケースが多く、稟議によって関係者間の認識を共有するメリットは大きいといえるでしょう。

決裁を行うべき理由

決裁には、決裁者へ権限を集中させることにより、会社としての意思決定の統一性を確保する役割があります。各人が勝手に業務を行うのではなく、必ず決裁者のチェックを経ることにより、一貫性のある意思決定が可能となります。

特に、稟議を経ずに決裁のみを行う場合は、詳細な起案や回覧などが不要となることが多いため、比較的規模の小さな企業では、従業員の業務負担や時間的コストを軽減しやすい点がメリットとなります。

稟議・決裁にかかるコスト(デメリット)

稟議や決裁には、認識共有・統一的な意思決定の観点からメリットがある一方で、以下のコストが発生することに留意しなければなりません。

  1. 時間的コスト

  2. 紙の書類に関するコスト

1. 時間的コスト

稟議や決裁に要する時間的コストは、会社が憂慮すべきポイントの1つです。

稟議の場合、稟議書を起案する従業員は、多大な時間をかけて稟議書を起案しなければなりません。多くの関係者が回覧する上に、起案ミスは自らの評価にも影響し得るため、慎重な検討が必要だからです。また、回覧する関係者の数が増えれば増えるほど、会社全体として稟議書の確認に要する時間は長くなります。

稟議を経ずに決裁のみを行う場合、稟議ほど多くの時間的コストは必要としません。しかし、決裁者への提案に際して書面の起案を要する場合は、稟議に準じた時間的コストが生じる可能性があります。

稟議書や決裁書を紙で作成している場合には、電子的な方法を用いる場合と比較して、起案や回覧に要する時間が長くなる傾向にあります。特に回覧時には、承認者または決裁者が不在のために、稟議が途中で止まってしまうこともあり得ます。その結果、時間的コストがさらに増えてしまいます。

稟議・決裁に要する時間的コストは、業務のひっ迫や人件費の増大に直結します。企業としては、稟議・決裁の時間的コストを最小化するよう努めるべきでしょう。

2. 紙の書類に関するコスト

紙の稟議書や決裁書を用いる場合は、時間的コストの増大に加えて、以下のコストを要する点に留意しなければなりません。

  • 紙の文書を用意するためのコスト(紙代、印刷代)

  • 過去の稟議書や決裁書の保管コスト

  • 不要となった稟議書や決裁書の廃棄コスト

特に稟議・決裁の件数が多い大規模な会社では、紙の書類に関する上記のコストは、無視できないほど高額になる可能性があります。

電子署名サービスで稟議・決裁を効率化

稟議・決裁にかかるコストの圧縮には、ワークフローシステムの導入がおすすめです。特に、ワークフロー機能を備えた「電子署名サービス」は、汎用性が高く、稟議書や決裁書のほかにも、契約書、同意書、申込書など多種多様な文書で活用できます。

稟議・決裁に電子署名サービスを導入するメリットとしては、主に以下のようなものがあげられます。

  • パソコンやスマートフォンで起案内容を確認できるため、書面の準備に要する時間や、回覧の移動時間を削減できる

  • 稟議や決裁の進捗状況をリアルタイムに確認できる

  • すべてオンラインで完結するので、作成用紙の購入コスト、保管コスト、廃棄コストなど、紙の書面で作成する際にかかるコストを削減できる

ドキュサインの電子署名(製品名:Docusign eSignature)は、世界180カ国100万社以上の企業、組織・団体に採用されており、パソコンやスマートフォン、タブレットから文書を送信でき、承認者・決裁者はいつでもどこでも承認・決裁(署名・捺印)を行えます。ワークフロー機能を使って簡単に回覧順やルールを指定できるので、たとえば、すべての承認者が文書を確認して署名・捺印したら、自動的に決裁者に回付されるよう設定できます。稟議・決裁ワークフローを自動化することで、進捗状況の確認や催促する手間を省くことができ、会社の迅速・正確な意思決定へ大いに貢献できるでしょう。

実際に文書を送信したり、ワークフロー機能や電子印鑑などの機能が使える無料トライアル(30日間)もありますので、この機会にドキュサインの電子署名を試してみてはいかがでしょうか。

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Author 阿部 由羅
阿部 由羅ゆら総合法律事務所・代表弁護士

ゆら総合法律事務所・代表弁護士(埼玉弁護士会所属)。1990年11月1日生、東京大学法学部卒業・同法科大学院修了。弁護士登録後、西村あさひ法律事務所入所。不動産ファイナンス(流動化・REITなど)・証券化取引・金融規制等のファイナンス関連業務を専門的に取り扱う。民法改正・個人情報保護法関連・その他一般企業法務への対応多数。同事務所退職後、外資系金融機関法務部にて、プライベートバンキング・キャピタルマーケット・ファンド・デリバティブ取引などについてリーガル面からのサポートを担当した。2020年11月より現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。弁護士業務と並行して、法律に関する解説記事を各種メディアに寄稿中。

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