保険業界のDX:保険金請求手続きのデジタル化で顧客満足度を向上させる方法とは
昨今、保険会社各社は保険請求の処理サイクルを迅速化し、いつでも優れた顧客体験を提供できるようにするために、デジタル技術の活用に力を入れています。本記事では、保険業界におけるデジタル化の重要性とともに、ドキュサインの保険業界向けソリューションについて紹介します。
今日、保険業界の成功を左右するのは"顧客体験"といっても過言ではありません。
Hippo、Lemonade、Bold Penguinといったデジタルファーストの新規参入企業の登場により、消費者にとっては保険会社の選択肢がかつてないほど広がり、既存の保険会社にとっては脅威が増しています。これらの企業は効率性および顧客体験を向上するために資本を投じており、このような革新的な企業が牽引するインシュアテック市場は、2027年までに市場規模が119億ドルに達すると見込まれ、年平均成長率(CAGR)は34.4%と予想されています。
さらに、顧客の期待はかつてないほど高まっています。アクセンチュアの調査では、保険加入者の76%がよりパーソナライズされたサービスを求めて保険会社を乗り換える可能性があると回答しています。また、キャップジェミニの調査では 、シームレスなオムニチャネル体験が得られない場合、保険加入者の75%が保険会社を乗り換える可能性があることが示されています。
あらゆるチャネルを通じて摩擦のない顧客エンゲージメントを構築するためのプロセスが整備されていることは、もはや「望ましい」ではなく「絶対に不可欠な」要件なのです。
すでに多くの企業がこのことに気付いています。アクセンチュアによると、保険会社の60%がすでにデジタル技術を活用して顧客体験の向上をはかっています。そうした企業は、電子署名やeKYCなどの新しいソリューションを利用して、売上を伸ばし、利益を増やし、より迅速かつ効率的でニーズに合ったサービスを顧客に提供するとともに、増大するリスクを管理しコストを削減しています。
デジタルを活用して保険金請求プロセスを合理化
保険会社各社は、保険請求の処理サイクルを迅速化し、いつでも優れた顧客体験を提供できるようにするために、とりわけデジタル技術の活用に力を入れています。単純な請求のバックエンド処理を自動化し、人の手が介在しない状態へと進化させるため、現在までに、予測分析とAI(人工知能)に投資している企業も登場しています。
さらに、モバイルフレンドリーなイノベーションを活用して、保険金請求プロセスを顧客にとってシンプルで使いやすいものにするために、フロントエンドのデジタル体験にも投資する必要があります。J.D.パワーによると、2020年時点で、自動車保険の保険金請求を行った顧客の84%が手続きのいずれかの時点でデジタルツールを利用しており、顧客はデジタルでの請求手続きを望んでいることを示しています。この割合は、顧客の期待が高まるにつれてさらに上がると予想されます。
デジタルへの関心が高まるにつれ、保険会社各社は足並みを揃え、安全なテクノロジーとプロセスを採用していくことが求められます。医療保険以外の保険金詐欺による損失額はすでに毎年300~400億ドルにのぼっているうえ、詐欺が疑われる保険金請求の割合は増加傾向にあり、2020年には10%から18%へと上昇しています。
ドキュサインの保険業界向けソリューション - 主な機能とメリット
DXを進めるにあたり、まずは貴社の保険金請求プロセスが顧客にとってわかりやすく簡単で、可能な限り安全でコンプライアンスに適合したものであるかを評価しましょう。
事故報告書などの保険金請求に必要な書類をどのように準備し、どのように保険契約者に送付していますか?
審査や承認などの社内処理を進めるために、どのようなツールを使用していますか?例えば、文書処理ソフトや電子メールをしている場合、使い勝手に問題はありませんか?
オンライン本人確認により、保険金請求の受付を迅速化し、不正請求のリスクを低減できますか?
保険契約者や損害査定人に個人情報を手入力させたり、コピー&ペーストさせたりするのではなく、事前に既存情報を保険金請求書に入力することは可能ですか?
請求書または申請書が提出され署名手続きが完了した後、情報を他のシステムに入力・転送する必要がありますか?
Docusign eSignatureを含むドキュサインの保険業界向けソリューションには、保険会社のニーズを満たすさまざまな革新的な機能が含まれています。どのように顧客体験を向上させられるのか、その一部を紹介します。
ガイド付きフォームを使用してパーソナライズされたセルフサービス式のフォームを作成し、迅速かつ容易に保険契約者の基本情報を収集します(事故受付時)。
SMS配信により、保険金請求に必要な書類をいち早く顧客の手元に届けられます。
顧客は、描画機能を使用して書類に添付する車両や物損の写真に印をつけることができます。これにより、不要なやり取りを減らせます。
高度なワークフローロジックで、適切な文書を適切な損害査定人や関係部署に転送し、審査と承認を効率よく進められます。
DocuSign CLMで電子メールやワード文書、スプレッドシートが組み合わさった書類を一元管理し、交渉と請求への同意プロセスを簡素化し、優れた業務運営を実現します。
SMS/電話認証などにより、署名者の本人確認を安全かつ確実に行うことができます。
ドキュサインのソリューションは、トップクラスの保険会社を含む1,400を超える生命保険・損害保険代理店に採用されています。例えば、米国のアクサ生命保険はSMS配信機能を使って、摩擦のないスムーズな保険金請求手続きを実現しています。同社のアナリスト・戦略アドバイザーであるAlishan Dhanani氏は、「テキストメッセージで署名を依頼できるので、顧客にシームレスな体験を提供しながら、手続き完了までの時間を短縮することができます。一番の利点は、(別のシステムと)追加で連携することなくSMS配信機能を使えることです」と話します。
消費者の期待の高まりによって保険の未来が形作られている昨今、保険会社各社は既存顧客を維持しつつ新規顧客を獲得するために工夫を施し、主要な保険金請求プロセスを合理化するためのデジタル技術に目を向けるようになっています。今こそ、DXを推進する絶好のチャンスと言えるのではないでしょうか。
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※本記事は米国本社が2021年9月に公開した「Delight Your Customers by Digitizing Insurance Claims」の抄訳で、日本向けに一部加筆修正しています。
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