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日本のリスキリングの現状は?企業が活用できる事例や支援制度も紹介

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新語・流行語大賞にもノミネートされたリスキリング(Reskilling)は、DXやGXが急速に進むなか、世界中で注目を集めています。本記事では、日本におけるリスキリングの現状や課題、政府の支援策を解説し、成功事例をもとにリスキリングを実践するためのヒントを探っていきます。

目次

リスキリングで新しいスキルを身につける従業員

2022年の新語・流行語大賞にもノミネートされたリスキリング(Reskilling)。「新たな職業に就く、あるいは新たな仕事に適応するために必要なスキルを獲得する/させること」を意味し、DX(デジタルトランスフォーメーション)GX(グリーントランスフォーメーション)が急速に進むなか、世界中で注目を集めています。また、日本でも政府主導でさまざまな取り組みが推進されています。

そこで本記事では、日本におけるリスキリングの現状や課題、政府の支援策を解説し、成功事例をもとにリスキリングを実践するためのヒントを探っていきます。今後、自社でのリスキリング施策の実施を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

日本におけるリスキリングの現状と課題

いまや、DX は、社会課題を解決し、持続的な成長を実現するのに欠かせない取り組みです。ところが、世界各国のデジタル技術の成熟度を測る『デジタル競争ランキング2022』では、日本は63カ国中29位と低迷。特に、「人材/デジタル・技術スキル」については62位で、これが全体を引き下げる要因となっています(※1)。こうした背景のなかで、リスキリングを通じた、デジタル人材の育成に注目が集まっています。

しかし、日本におけるリスキリングの課題は少なくありません。

その一つが「諸外国に比べ、学び直しへの投資や習慣が根付いていない」ということです。例えば、企業における OJT 以外の人材投資額が、日本は米国や英国、フランスなどの先進各国と比べて大幅に低く、「社外学習・自己啓発を行なっていない人の割合」は諸外国に比べて大幅に高いという結果が出ています。そのため、学び直しに関するサービスを提供する民間企業が少なく、リスキリング市場も成熟しないという課題があります。

人材投資の国際比較と社外学習・自己啓発を行なっていない人の割合

また近年、リスキリングを実践する企業は増加傾向にあるものの、その多くは大企業です。日本の就業者の約7割が中小企業で勤務していることを考慮すれば、中小企業におけるリスキリングをいかに推進するかが、今後の日本の課題といえるでしょう(※2)。

リスキリングの実践に役立つ事例を紹介

では、こうしたなかで、企業はどのようにリスキリングを実践していけばよいのでしょうか。リクルートワークス研究所が発表している『リスキリングをめぐる内外の状況について』では、中小企業のリスキリングについて、以下3つの事例を紹介しています。

①使いこなしのリスキリング

ホテル・旅館業:ホテル・旅館業を営むA社は、既存業務で利用していた台帳を廃止し、ホテル・旅館情報管理システムを導入。既存の仕事の進め方を変え、新たな業務に従業員を習熟させることでリスキリングを促し、デジタルツールを使いこなす人材への成長を導きました。このように新たなツールなどを導入し、それを従業員に「使いこなさせる」ことで、リスキリングを促すことができます。

②変化創出のリスキリング

製造業:自動車部品などを製造するB社は、現場従業員を中心に自社で利用する基幹システムを開発。社外ベンダーや専門部署に頼らないことで、現場従業員のITへの習熟を進めました。現場の課題をよく知る従業員が、自社に変化を生み出す活動に参加する形でリスキリングを促しています。

③仕事転換のリスキリング

印刷業:電話帳などの印刷事業を展開していたC社は、デジタル技術を活用したビジネスへの転換を目指し、新規事業を担う部署やラボを設立。希望者を積極的に異動させ、従事する業務を転換することでリスキリングを促しました。結果として、同社はAIソリューションや3DCGなどに関する事業を開始し、社員全体のITスキル底上げも進んでいます。

このようにリスキリング施策の実践には、複数のアプローチが存在します。今回取り上げている「ITツールを導入し、従業員に使いこなさせる」、「新たな業務に従事させ、従業員のITスキル向上を促す」、「新たなビジネスや部署を立ち上げ、従業員の職種転換を促すなかで、ITスキルの底上げを図る」などの事例を参考にしながら、自社に適した手法を模索するのがよいでしょう。

なお、「デジタル化の窓口」では、さまざまなリスキリングの成功事例を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

政府はリスキリング支援を実施。助成金や補助金の活用も検討を

リスキリングの推進には政府も積極的です。2022年10月3日、国会開会に伴う所信表明演説において、岸田文雄首相は「構造的な賃上げ」を重点分野の1つとして掲げ、その実現手段としてリスキリングを公的支援すると表明しました。リスキリングを通じてデジタル人材を育成することで、IT産業などの成長分野への労働力の移動を促し、賃金を底上げするのが目的です。

この具体策として、政府は5年間で1兆円を支援する方針を打ち出しています(※3)。また、これに併せて、民間の専門家などを活用し、個人のリスキリングから転職までを一貫して支援する体制も整備する方針です(※4)。

また、厚生労働省の人材開発支援助成金に「事業展開等リスキリング支援コース」が追加されるなど、リスキリングを実施する企業を支援する新しい制度も登場しています。企業は政策の動向を注視し、国や地方自治体の支援制度をうまく活用しながらスキリングを推し進めてみてはいかがでしょうか。

出典:

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