ドキュサインとハンコの関係② シヤチハタ社との業務提携
ドキュサインは日本進出にあたり、なぜシヤチハタ社とパートナーシップを結ぶことになったのか。業務提携を開始して以来、電子印鑑の機能を拡充し、現在ではネーム印だけでなく、日付印や役職印、会社印も利用可能になりました。また、既存の承認・決裁プロセスを大きく変えることなく、リモートでも効率的に業務を遂行することができます。
シリーズでお送りする「ドキュサインとハンコの関係」。第2回は「シヤチハタ社とのパートナーシップ」についてお話しします。(第1回「ドキュサインとハンコの関係① 日本進出への道のり」)
2014年4月、ドキュサインの前CEO キース・クラック率いる幹部4名は市場調査のために来日しました。それは、日本の市場規模やマーケットポテンシャルを調べるためであり、またドキュサインが海外投資家を見つけるためのミッションでもありました。当時はまだドキュサインが単独で日本に進出するのか、日本企業とジョイトベンチャーを組むのか、それとも資本を受ける形のパートナーシップを組むのかは決まっていませんでした。
来日中の4日間半で30社以上とミーティングを重ね、その中には既に日本でビジネスを構築していたセールスフォース・ドットコム(Salesforce)やSAP、さらにはベンチャー企業、大手商社、テレコム、ポータル会社、テクノロジー製品を扱っているディストリビューター、リセラーやSIer、日米不動産協力機構(JARECO)などが含まれていました。また、印鑑業界の最大手、シヤチハタ社の名古屋本社でミーティングを設定することもできました。ドキュサインの経営陣は、シヤチハタ社は1925年に創業した、日本人なら誰もが使ったことがあるシヤチハタネーム印で有名な企業であり、ドキュサインが日本に進出するにあたりシヤチハタ社と組むことは日本の文化をうまく取り込むことができるチャンスであると考えました。
日本の意思決定プロセスというと、紙で書類を作成し、承認を取得するには起案担当者が押印し、上司が確認、そして責任者が最終的に印鑑を押して承認、という流れが一般的になります。このようなプロセスが存在する中で、欧米式の「署名」よりは、決められた四角の中に「印鑑」を電子的に押印した方が馴染みがあると考え、電子印鑑を取り入れることにしました。
そこでドキュサインは独自で印影を作成するのではなくシヤチハタ社と組み、ドキュサインのアプリケーションで名前を入力するとシヤチハタ社のフォントで印鑑が直ぐに使えるインテグレーションを両社で共同開発しました。これにより、日本のハンコ文化、印鑑プロセスのノウハウを素早く取得することができました。またネーム印だけでなく、一目でいつ承認したか分かりやすい日付印も導入しました。
2015年にシヤチハタ社と業務提携を開始してから、ドキュサインはさらに印鑑機能を充実させ、管理機能も追加しました。日本の商習慣に併せて、特定のユーザーに会社印を割当てたり、人事異動で部署などが変更になった場合に応じて、会社印の割り当てを取り除く機能もリリースしています。
そして2019年にはシヤチハタ社との技術連携を更に深めて、ドキュサインのお客様の管理者がシヤチハタ社のカスタム印(部門印や角印など)を注文し、ユーザーに割当てることができるようになりました。
このようにドキュサインは日本の商習慣や既存の社内プロセスを尊重し、契約や承認業務を電子化することにより、場所にとらわれずリモートでも効率的に業務を遂行できるソリューションを提供しています。
最終回は「ドキュサインの電子印鑑機能がどのように海外で活用されているか」をご紹介します。