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情報通信白書2022から紐解く!電話の進化は社会をどう変えたのか

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固定電話からスマートフォンへ。過去50年間の電話の進化は、社会をどのように変えてきたのでしょうか。2022年(令和4年)版 情報通信白書の内容をもとに、日本における電話の歴史とその進化の変遷をたどり、社会への影響を考察します。

目次

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Young businessman looking at smart phone on pedestrian walkway

総務省が公表した『2022年版 情報通信白書』には、「情報通信白書刊行から50年〜ICTとデジタル経済の変遷」と題する特集が設けられており、1973年から2022年までの情報技術の変遷がまとめられています。そこで本記事では「電話の進化」に焦点を当て、日本における電話の歴史とその進化の変遷をたどり、社会にもたらした影響について考察していきます。スマートフォンやSNSの登場以前、私たちは電話でどのようにつながり、どのようにコミュニケーションをとっていたのでしょうか。

50年前は固定電話が主流、手動での回線交換も残存

50年前、最も一般的なコミュニケーション手段は、いわゆる「固定電話」でした。1973年、固定電話の加入者数は2,417万人に達しており、2022年版情報通信白書でも当時の主な通信手段であったとしています(※1)。

しかし、当時の固定電話は交換手が手動で回線を接続する形式だったため、市外通話では相手方につながるまでに数時間かかることも珍しくなく、長距離間でのコミュニケーションにおけるタイムラグが課題でした。また、電話需要が高まる一方で、電話機の架設は追いついていなかったため、加入申し込みから利用開始までに1~2年を要する「積滞」という問題も常態化していました。

それが、1978年の積滞解消、1979年の全国自動即時化により解消され、固定電話の加入者数はさらに増加し、1981年には加入者数4,000万人、1995年には6,000万人に達しました。

これに伴って、長距離通話や国際電話の一般化も進みます。1985年には公営企業による独占事業だった通信サービス市場が自由化され、新規事業者の参入が可能になりました。各社の価格競争により、1985年には3分あたり400円であった長距離通話料金は、1993年11月に170円にまで引き下がりました。これにより、従来は難しかった遠方の相手との電話が利用しやすくなりました(※2)。

携帯電話の普及 - いつでも、どこからでも架電が可能に

この流れが一変するのが1990年代中ごろです。固定電話の加入者数は頭打ちとなり、減少傾向に転じます。背景には携帯電話の普及がありました。

日本で、移動式の通信機器が登場したのは1979年。自動車に設置された「第1世代アナログ自動車電話サービス」が始まりでした。その後、持ち運び可能なショルダー型電話が発売されますが、重量が3kgもあったことや、価格についても保証金約20万円、月額基本使用料が2万円強と高額であったことなどから、広く普及はしませんでした。

携帯電話の普及は、利用者が携帯電話端末を所有できる端末売り切り制度の導入(1994年)や料金認可制の廃止による低価格化(1996年)などがきっかけとなりました。これを契機に、携帯電話は年間1,000万のペースで契約者数を増やしていき、2000年には固定電話の加入者数を上回ります。このころ、電話は特定の場所からではなく、いつでも、どこからでも架電可能なツールとなりました。

さらに時を同じくして、携帯電話とメール、インターネットの融合も進みます。1999年に「iモード」の提供が開始されると、携帯電話でのメールの送受信やインターネットへの接続が一気に普及します(※3)。携帯電話専用のWebサイトから銀行振込やチケット購入などを行えるサービスが多数登場。2005年には携帯電話からのインターネットのアクセスが、PCからのアクセスを上回りました。携帯電話は次第に「電話するためのツール」ではなくなっていきます。

おすすめ記事:計算機からクラウドまで。知っておきたいデジタルテクノロジーの進化

固定電話からスマートフォンへ - 時間や場所からの解放

2000年代後半には、ネットワークインフラの高度化に伴い、インターネットサービスが多様化していきます。移動通信網の高度化と広域化が進み、2010年には高速通信のLTEサービスの提供も始まります。これに伴い、インターネット上のサービスやコンテンツを利用・閲覧しやすい環境が急速に整備されました。

こうした流れのなかで、スマートフォンの普及が始まります。電話だけでなく、Webアプリケーションの処理も可能なスマートフォンは、インターネット上のサービスやコンテンツが急増する時代に非常に適したツールだったと言えます。携帯電話からスマートフォンへの移行は2008年ごろから始まり、2012年には世帯保有率は約50%、2018年には約80%に達しました(※4)。

現在、スマートフォンはSNS、音楽、動画、ゲーム、地図、メール、チャットなど、実にさまざまなサービスを包括しています。2020年からは高速大容量・低遅延・多数同時接続が特徴の5Gサービスの提供も始まり、より高品質でリアルタイムなコミュニケーションも可能になっています。

かつて手動で回線を交換し、長距離間での通信には不便だった固定電話は、50年間という時間を経て、スマートフォンに進化しました。音声のみに限られていたコミュニケーションは、今や動画や文字でも可能になり、いつでもどこにいる相手とでも自由にコミュニケーションを図ることができます。こうした電話の進化からは、情報技術の進展が私たちを時間や場所の制約から解放し、より利便性が高い社会を実現してきたことが分かります。

移動通信はすでに、5Gからその先の「6G(Beyond 5G)」に向けて動き出しており、サイバー(仮想空間)とフィジカル(現実空間)が融合し、働き方や暮らし方が大きく変わるとされています。次の50年、私たちのコミュニケーションはどのような変化を遂げるのでしょうか。

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出典:

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