紙からデジタルへ。契約書の完全電子化で数万分の1のエラーを防止
2017年に、旧 NTT ソフトウェアと旧 NTT アイティが合併して誕生した NTT テクノクロスは、NTT 研究所の最先端技術をはじめ、国内外の優れたテクロノジーを掛け合わせることで、顧客のビジネスシーンに最適なソリューションを創出しています。NTT グループの中でもベンチャー気質に富み、特に AI(人工知能)やセキュリティ、クラウド、コールセンタービジネス向けのソリューションに力を入れています。
年間1万件を超える契約業務が課題
同社では開発や運用の多くをアウトソーシングしており、定常的なパートナー数は400社以上、契約の数は年間で1万件を超えています。さらに開発関連の発注が月末から月初に集中する傾向があるため、その期間、契約を扱う部門は極めて多忙になります。そのため、責任者である営業推進部契約部門担当課長の田中悦子氏は、かねてから業務の効率化を考えていました。
「従来までの契約は、紙+郵送 / Fax でしたが、ここを何とかしたいと考えていました。契約書の誤郵送、誤送信や、余計な書類の混入等のリスクがあるため、様々な観点でのクロスチェックが必須となり、かなりの手間がかかっていました。万が一のことが起きた場合、他社の情報が別の会社に漏れてしまうことになり、パートナー様はもとより、弊社に発注してくださったお客様にも多大なご迷惑をおかけしてしまいます。こういったミスは絶対あってはならないことで、我々には非常に大きなプレッシャーがかかっていました」と田中氏は語ります。
仮に3年間でミスが1件あった場合、0.03%のエラーを人的に防ぐというのは、ほぼ不可能です。むしろアナログ作業でこのエラー率は賞賛に値すると言えます。ただ、この1件でも許されないとなると、そのプレッシャーは計り知れないのになります。
相手先の負担が少なく、他のアプリケーションとの連携が充実したドキュサインを選択
そこで契約業務を改善するために電子署名を導入してデジタル化することを検討。最終的に選択したのはドキュサインでした。田中氏はその理由について、「ドキュサインを選んだ理由は、単に署名・捺印するだけならば無料で利用でき、アカウントを作る必要がないためパートナー様の負担がないことと、Box など他のアプリケーションとの連携性が良いことの2つです」と説明します。
「ただ、いざ導入となると社内ハードルは低くはありませんでした。弊社でも、一部の受注契約においては電子契約を利用していました。お客様が利用している電子契約システムから契約書が送られてくるのですが、弊社が主体的に行っているものではなく、お客様によって利用されているシステムが異なるため、弊社内では印刷して保管している状態でした。発注契約でドキュサインを導入するにあたっては、保管まで含めてペーパーレスにしたいと思っていました。つまり、契約書の完全電子化です。これは、弊社では初の試みであったため、法務部や経理部などの関連部門に説明して回りました。経理部からは契約書を電子保存に変更しても法律上、何も問題ないのか?印紙税は大丈夫か?など専門家の観点からたくさんの質問がありました。それらに1つ1つに回答し、電子契約化のメリットを説明し、理解を得ました」と、田中氏は振り返ります。
「メリットに関しては、単に手間が省けるというのでは理解されにくいので、目に見えやすいもの、具体的には『コスト』と『リードタイム』の削減をアピールしました。つまり、年間300万円以上かかっていた印紙代や郵送代、郵送にかかる稼働に関する(人的)コストが削減できる、数週間かかっていたリードタイムが早ければ即日で署名され返ってくるという部分です」。
人海戦術のアナログ作業をデジタル化し、業務効率が大幅に向上
ドキュサインを導入するにあたり、よく直面するハードルは3つあります。1つ目は技術的なもの。ただドキュサインはクラウドベースの使いやすいソリューションなので、よほど特殊な使い方をしない限り、このハードルが高くなることはありません。2つ目は社内のルールを変えること。これに関しては前述の通り、同社では紙からデジタルにルール変更することを関連部門に対して丁寧に説明して同意を得ました。そして3つ目は、取引先が契約書をドキュサインで受け取り電子署名で署名・捺印することを受け入れてくれるかどうかです。ただ、これに関しては杞憂であることがほとんどです。
同社でも、パートナーへの導入は順調に進んでいます。「年間の契約数が多いパートナー様から順次導入しており、滞りなく進んでいます。ドキュサインは相手企業(パートナー様)が予めアカウントを作成したりする必要がないため比較的負担が少なく、パートナー様も抵抗感はあまりないようです。ただ、もちろん弊社でもパートナー様への導入がスムーズに進むよう、電子署名マニュアルを作るなどの努力はしました。質問も随時募っていますが、『印紙なしで本当に OK なのですか?それなら試してみたい』という積極的な質問が多かったです」。
「従来までのアナログ作業は本当に人海戦術な作業が多くキツかったです。Fax で送った後に電話で到着確認をして記録を残したり、請書の督促、社内の専用保管場所で7年間の保管、など非常に手間がかかっていました。かつ、開発関連の発注が、月末、月初に集中します。先ほども申し上げた通り、誤送信や誤郵送などがあると、案件の仕様書が他社に見えてしまうので、これを防ぐために必ず2人でクロスチェックする体制は取っていましたが、件数も多いので我々のストレスは相当のものでした。この問題が解決できたことは本当に大きいです」と田中氏はドキュサインの効果について語ります。
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