新たな時代を生き抜くための「データドリブン経営」とは?
デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる昨今、ビジネス上の意思決定にデータを活用する「データドリブン経営」に注目が集まっています。本記事では、政府の調査資料などを参考に、データドリブン経営の意味や具体的な事例、日本国内におけるデータドリブン経営の実態などについて解説します。
近年、しばしば耳にするようになった「データドリブン経営」。デジタルトランスフォーメーション(DX)への注目から、データの重要性を実感するようになった方も多いでしょう。では、具体的にデータをどのように活用し、どんな意思決定にデータを用いれば「データドリブン経営」と言えるのでしょうか。そこで、本記事では「データドリブン経営とは何か」をテーマに、その意味や具体的な実践例、日本国内におけるデータドリブン経営の実態などを紹介し、データドリブン経営を実践するためのヒントを探っていきます。
政府も主導する「データドリブン経営」
データドリブン経営とは、直訳すると「データ駆動経営」を意味します。つまり、直感や経験ではなく、収集したデータを分析し、その結果に基づいて意思決定を下し、組織を駆動することを指します。
例えば経済産業省は、データドリブン経営を実践する企業の形として、「データ」「ビジネス戦略」「システム」の3つの要素が相互に連関するイメージを挙げています。
データによる分析をもとにビジネス戦略を立案し、次にビジネス戦略を実際の仕組みやシステムに落とし込み、さらにシステムから得られたデータを次なるデータ分析に生かすといった一連のサイクルこそ、データドリブン経営の本質と言えます。
経済産業省 デジタルトランスフォーメーションの河を渡る〜DX推進指標診断後のアプローチ〜 第2章 デジタルエンタープライズとデータ活用 より引用
データドリブン経営は、現在、様々な業界の企業で実施されており、その対象も新規事業の創出や業務効率化、マーケティングの強化、サプライチェーンの適正化、設備管理など、実に幅広い施策に適用されています。
また、近年では、内閣府が定めた国家成長戦略である「Society5.0」のなかで「データ駆動型社会への変革」が目標として掲げられているなど(※1)、社会全体でデータドリブン型の意思決定が重視されています。
データドリブン経営のメリットや実践例
なぜ今、データドリブン経営が求められているのでしょうか。そこには、ここ最近における社会全体の構造変化が関わっているようです。近年、AI(人工知能)、IoT、ロボットなど、デジタル技術が進化するなかで、社会のあらゆる物事や現象のデータ化が可能になりつつあります。そのなかで、これらのデータを活用し、イノベーションを生み出す企業が増えてきています。
例えば、定額制動画配信サービスを提供するN社は、各ユーザーの試聴したコンテンツの種類や視聴時間、試聴したデバイスの種類などのデータを用いて、ユーザーごとの視聴傾向を分析。ユーザーそれぞれの好みにあったコンテンツをレコメンデーション(おすすめ)機能で表示することで、継続的な定額課金を促し、サービスを世界的な規模にまで成長させました。
また、N社以外にも、データドリブン経営を実践することで、グローバル市場を席巻する巨大組織に成長した企業は少なくありません。そうしたなかで、競争力を維持し、新たな付加価値を生み出すためには、企業を含めた社会全体が、データドリブンを実現していく必要があるのです。
では、データドリブン経営により、企業には具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
例えば、経済産業省が2020年6月に公表した「データ利活用のポイント集」は、企業の保有するデータは「既存製品やサービスの付加価値向上、新たな製品やサービスの開発・提供、戦略策定、マーケティング、不正防止など、さまざまな目的のために活用可能」としており(※2)、データドリブン経営が企業活動の広い範囲にメリットをもたらすとしています。
また、2019年に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「安全なデータ利活用に向けた準備状況及び課題認識に関する調査」によれば、東証一部、二部、マザーズ上場企業278社のなかで、データ利活用を最も推進している部門として、「営業部門」や「経営企画部門」が上位に挙がるなど(※3)、データドリブン経営が営業活動の強化や事業戦略の推進に役立てられる事例が多いことがわかります。
上場企業の約4分の1が「消極的」。データドリブン経営を効果的に推進するには
しかし、データドリブン経営に対して、消極的な企業も少なくないのが実情です。例えば、先に挙げたIPAの調査によれば、対象企業の約4分の1にあたる62社が「データ利活用に慎重または消極的である」と回答しています。調査の対象が上場企業に限られていることを考慮すると、中小企業ではデータドリブン経営に消極的な企業は、さらに多い割合で存在すると予想されます。
データドリブン経営に消極的な理由としては、「データ利活用による事業への効果が現段階では不透明であるため」「事業がデータ利活用と関連が少ない(と思われる)ため」などが挙がっています。それに対して、同調査は「企業におけるデータ利活用の取り組みを推進するうえでは、効果を期待できるようなビジネスモデルを企画・構築することが重要と推測される」と結論付けています。データドリブン経営を実現するためには、経営全体を鳥瞰し、データの利活用を行いやすい領域を見極めたり、事業を構築したりすることがポイントのようです。
データドリブン経営の第一歩は「社内の情報のデータ化」
経済産業省の「データ利活用のポイント集」では、データの利活用は「使用(分析・加工など)できるデータの量や種類が多ければ多いほど、解析の精度が向上するなど、さまざまな結果を生み出す可能性が向上すると思われる」としており、データドリブン経営においてデータの取得・収集の重要性を訴えています。
企業活動において広範囲にメリットをもたらすデータドリブン経営。その第一歩は、必要なデータを取得・収集し、適切な形に加工することだと言えます。つまり、データドリブン経営を実践するには、これまで蓄積してきた社内の情報をデータ化する必要があります。紙の資料や経費書類、契約書などの情報をデータ化し、経営を加速させる「資源」として利活用することが重要だからです。
例えば、電子署名を活用することで、契約書や稟議書、申請書、アンケートなど、さまざまな紙の書類のデータ化が可能になります。ドキュサインの電子署名の場合、署名日時、氏名やメールアドレス、IPアドレスといった送信者および署名者の情報、さらに文書にフィールドを追加することで署名者から必要な情報を取得・収集することができます。電子署名は業務効率化やペーパーレス化を推進するだけでなく、データドリブン経営を実践するためにも有効な手段であると言えるでしょう。
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出典:
※1 平成30年6月15日 未来投資戦略2018 ―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革―
※2 経済産業省「データ利活用のポイント集」
※3 独立行政法人情報処理推進機構 安全なデータ利活用に向けた準備状況及び課題認識に関する調査