<2020年最新版>契約管理の最旬トレンド7選
スマートコントラクトやAI(人工知能)を活用した契約分析など、2020年に最も注目すべき契約管理のトレンドを7つご紹介します。企業は、顧客と従業員のリスクを軽減し、コストを削減、エクスペリエンスを向上させてビジネスを迅速に行うために、契約管理のこれらの傾向を把握することが求められています。
契約管理は、契約の作成、実行、分析を管理するプロセスです。これまで組織がテクノロジーを用いて、業務効率を改善するなかで、契約管理はバックオフィスの事務的な活用にとどまらず、戦略的な使い方に変化してきました。また、テクノロジー側も大きな進化を遂げています。ご存じな方も多いかと思いますが、最新の契約管理ソリューションは、契約の生成、コラボレーション、電子署名、ワークフロー、および分析といった、企業が必要としている契約のライフサイクル全体のプロセスを自動化することも可能になりました。このトピックは、もはや「電子署名だけ」では語れないのです。
そんな変化の激しい契約管理ですが、2020年に最も注目すべきトレンドを7つ選んでみました。
スマートコントラクト
スマートコントラクトのプログラムは、内部システムまたは外部システムからのデータ入力に基づいて、契約の重要な部分の処理を自動化します。このユースケースは、主要なサプライヤーからの購入にボリュームディスカウントを自動的に適用することから、従業員や請負業者の資格情報や資格を定期的に確認すること、出荷要件やSLA履行などの条件要因に基づいて支払いを計算して発行することまで多岐に渡ります。うれしいことに、2020年になり、スマートコントラクトのプログラムはブロックチェーンを必要とせず、従来の法的に有効な契約に組み込むことができるという認識が高まっていることです。クラウドベースの「スマートな契約」を使えば、契約の自動化ができるようになるのです。
データのプライバシー
2020年はデータプライバシーの10年ともいえる年に突入したと考えます。CCPAは2020年1月1日から施行され、GDPRは2年目を迎えました。米国はそれぞれの州のプライバシー法がバラバラに施行されました。一貫性のない基準と、州の司法一般執行とデータプライバシー侵害に対する集団訴訟の両方のリスクの高まりに直面して、組織はコンプライアンスが一度きりの頑張りではなく継続的なコミットメントであることをより一層認識するようになりました。それは、データを共有するエンティティとの既存の契約の内容を知ることから始まります。そこから、顧客や従業員とのやり取りが増え、適切な通知を提供し、立証可能な同意を収集し、準拠するだけでなく顧客の信頼を構築する方法でデータに対するアクセスの要求を実行します。ほとんどの契約システムはこれらの課題に対応するための設備が整っていないため、2020年には契約AI、電子署名、デジタル契約ライフサイクル管理(CLM)を活用してデータプライバシーコンプライアンスに対応することに重点が置かれます。
契約AI
データのプライバシーに対処するか、資本機会を明らかにするか、交渉を知らせるか、貿易関係の変化に対する準備をするか(今後起こるBrexitも!)、組織は契約の内容を確実に知る必要があります。_2020_年からは、契約のそれらの膨大なボリュームに透明性を提供することができない法務と購買部門に対して、もはや許容できなくなってくるでしょう。検索、フィルタ、比較することができるように、文書を契約条項および概念に変換できるインテリジェントな契約は最終的に必要不可欠になるでしょう。しかし、最も期待される変更点は、契約をモジュール化されたデジタルエンティティとして、過去の履歴から通知されることによって再利用できることです。つまり組織のすべての合意と合意プロセスをよりスマートにする契約AIによって表面化した学習内容を活用できるようになります。
環境に配慮した契約
CDPによって2019年に公開報告書によれば、世界最大のグローバル企業215が、$ 1兆ドル近いリスクと、回答企業の73%が経営者レベルで気候関連のリスクを注視しているという点において、ビジネス深刻な脅威として気候変動を認識しています。サプライチェーンが企業の二酸化炭素排出量の約50〜70%を占めているため、サプライヤーとの気候に配慮した契約は増加傾向にあります。多くの企業にとっての最初のステップは、CO2の排出が影響あるか契約の内容を知ることです。これには、契約と契約条項にCO 2 を考慮している(または意識していない)かどうか判別することが含まれます。デジタル契約技術は、紙に頼らずにサプライヤー契約の更新、再交渉、実行のプロセスを合理化することもできるため、契約プロセス自体の気候への影響を軽減できます。契約管理の多くの達成目標の中でも、既存の関係におけるCO2削減を支援することが、最も重要で影響力があるかもしれません。
デジタル識別
クレジットカード読み取り機にPINを入力するか、指紋認証を使用してスマートフォンのロックを解除するかどうかにかかわらず、全員が毎日(多くの場合複数回)身元を確認されています。ただし、銀行口座の開設や携帯電話プランの切り替えなどの重要なビジネス契約の場合、業界規制により、徹底的な検証が必要になる場合があります。デジタル運転免許証の試用版は、すでにいくつかの米国の州で進行中であり、電子ID(eID)スキームがオーストラリア、英国、オランダ、および北欧で勢いを増しており、2020年にはさらに多くの米国内のeIDプログラムが発展することが想定されます。これらの身元の証明をオンラインで確認するための普及しつつある標準技術を活用できる契約のためのテクノロジーは、企業と消費者の両方の作業を簡素化します。
リモートオンライン公証
日本であまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカでは公証は、本人確認作業が必要な、もっともよくある作業の一つにあげられます。これまでは、署名者が公証人の前に直接出頭しなければならなければなりませんでした。リモートオンライン公証(RON)は、公証人と同じ場所にいる必要があるという、公証と消費者が抱える最大のいらいらを解消します。アメリカの22の州がRONを合法化し(2018年にはわずか3つの州でした)、2020年にRONを承認する州が増えています。オンラインでの音声映像技術を介してデジタル署名者の身元を検証し、文書に電子的にスタンプを押してプロセスを完了します。
顧客および従業員の体験
さまざまなプロセスに対しての操作感などの体験をよくすることは、顧客と従業員の両方にとって満足度を高めます。顧客は購入プロセス全体を通じて、購入する製品やサービスと同様に、企業との双方向のやりとりやコミュニケーションに高い価値を置いています。2020年には、こういった体験のパーソナライズと顧客ニーズの事前予測にさらに重点が置かれると予想しています。つまりモバイルデバイスで必要な書類を簡単に完了できることも今まで以上に重要視されるでしょう。ダウンロード、印刷、記入、署名、スキャンが必要なPDFなど、バラバラだった顧客体験が、シームレスに行えるようになるでしょう。近い将来、従業員を紙だらけのマニュアル作業から解放することにより、これまで以上に従業員は価値の高い戦略的な業務に集中できるようになります。
企業が成熟するにつれて、関係する利害関係者の数と契約プロセスの複雑さが劇的に増加します。企業は、顧客と従業員のリスクを軽減し、コストを削減し、エクスペリエンスを向上させてビジネスを迅速に行うために、契約管理のこれらの傾向を把握する必要があります。弊社の最近の調査結果である、契約管理の現状(英語)にもさらなる詳細が掲載されています。
本ブログは、2020年1月6日にリリースされた以下の米国版のブログの抄訳です。