視覚障害のあるユーザーが電子署名を快適に利用するためには、スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)以上のものが必要です。ドキュサインがどのようにアクセシビリティの向上に取り組んでいるか、事例とともに紹介します。
世界保健機関(WHO)の最新データによれば、世界には視覚に障害のある方が22億人近くいるとされています。近年、Google、Facebook、Apple といった大手IT企業の多くが、自社の製品やサービスを障害のある人たちにとって一層アクセスしやすく使いやすいものにする取り組みを進めています。
ドキュサインも例外ではなく、誰もが、いつでも、ほぼ全ての場所で、重要な文書に署名できるようアクセシビリティの向上に取り組んでいます。ドキュサインがこれまでに実施したアップデートには、以下のようなものが含まれています。
キーボード・ナビゲーションとコントロールの機能強化
スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)やブラウザとの互換性を拡張
すべてのユーザーに最善の使い勝手を提供するため、WCAG(ウェブコンテンツを障害者にも使いやすくするためのガイドライン)要件への対応
アクセシビリティ向上の取り組みを通じて、障害者の自立と選択の自由を後押し
数年前まで、私たちの多くは紙とペンを使って対面で署名を行なっていました。しかし、コロナ禍により、対面からバーチャルへと移行し、あらゆる業種の企業がサービスの提供方法や業務の進め方の変更を余儀なくされました。
ミズーリ州にある視覚障害者リハビリテーションサービス(RSB)の担当者は、コロナ禍で対面でサービスを提供することが困難になり、HIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)、ADA(障害を持つアメリカ人法)、WCAGのアクセシビリティ基準を満たす信頼性の高い解決策を迅速に導入する必要に迫られたと話します。そこで、州全体のプロトコルに準拠しながら業務を円滑に維持し続けるために、「Docusign eSignature(ドキュサインの電子署名)」を採用しました。これにより、利用者に直接関係する各種書類をデジタル化し、ミズーリ州の視覚障害者のためにサービスを継続的に提供することができました。
電子署名の導入によって、RSB の利用者は代わりに書類を読んでくれる人を探したり、点字版を別途入手したりすることなく、自分自身でサービス申請書の内容を確認し、署名できるようになりました。視覚障害があっても、キーボードと支援技術を用いて手続きを完了させられるので、「自分のことは自分でやりたい」と考える利用者には選択の自由を提供し、さらに、RSB は予期せぬ事態が起きても迅速に対応できる敏捷性を手に入れることができました。
アクセシビリティの高い文書を準備する方法
スクリーンリーダーと相性がよく、アクセシビリティの高い文書を提供できるかどうかは、設定プロセスが適切であるかによります。ドキュサインでは、まずはアクセシビリティ専門家に文書をレビューしてもらうことを推奨しています。また、Microsoft Word で文書を作成するのも良いでしょう。Word に搭載されたアクセシビリティチェックをはじめとするツールは、わずか数ステップで、スクリーンリーダーのような支援技術を最適化することができます。
Microsoft Word アクセシビリティチェックの使用方法
[校閲]>[アクセシビリティチェック]を選択します。
検査結果を確認します。エラーや警告、どうすれば改善できるか等のヒントが表示されます。
具体的な問題点を選択すると、修正が必要な理由や修正方法を知ることができます。
それ以外にアクセシビリティ上の問題がないかどうか、WCAG ガイドラインやウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のサイトを確認しましょう。
文書を作成する際には、適切な構成にすることが重要です。例えば、見出しを作成する時は「見出しスタイル」、リストを作成するときは「リストスタイル」を使用します。それにより、支援技術が文書の構成を理解できるようになります。見た目上は文書に見出しを付けていても、Word の「見出しスタイル」を使っていないと、支援技術に頼っているユーザーには文書の構成が正しく伝わらない可能性があります。
その他にもアクセシビリティを評価・検証するツールがありますので、ぜひ活用してみましょう。
ドキュサインは、今後もあらゆる人が快適に電子署名を利用できるよう新機能の実装を続けて参ります。アクセシビリティ関連の機能や要件の詳細は、弊社のアクセシビリティ宣言をご覧ください。
※本ブログは「Making the Signing Experience Accessible to All」の抄訳になり、一部日本向けに加筆修正しています。