民間×行政でDXを加速。地方公共団体と企業の連携事例
![スマートフォンでオンライン行政サービスを利用する母親と子供](/sites/d8/files/styles/body_max_width/public/2021-05/Mother%20using%20online%20goverment%20service%20with%20smartphone%20.jpg?itok=nVOGgB2i)
菅政権の目玉政策の1つとして、強力に推進されている行政のデジタル化。中央官庁だけでなく、地方公共団体でも脱ハンコや行政手続きのオンライン化が進められています。その背景では、民間企業と連携する地方公共団体が増加傾向にあります。これは、民間企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する知見を取り入れ、行政のデジタル化を加速するのが狙いです。本記事では、民間企業と連携し、行政のデジタル化を推進する地方公共団体の実践例を紹介します。
IT企業大手と連携しDXを推し進める神戸市
全国の地方公共団体のなかでも、兵庫県・神戸市は行政のデジタル化に先進的な取り組みを行っています。2017年には、地方公共団体で初めてとなる地域課題を解決する官民連携プロジェクト「アーバンイノベーション神戸」を立ち上げました。このプロジェクトは神戸市が抱える地域課題をWebサイト上で公開し、その解決策を公募するものです。これまで数々の民間企業と連携し、共同開発・実証実験などに取り組んできました。
2020年6月には大手IT企業と包括連携協定を締結(※1)し、同社が提供する業務アプリケーションプラットフォームを利用して、行政サービスチャットボットなど4つのサービスを開発しています。
![神戸市のDXへの取り組み(新型コロナウイルス感染症の不安をチャットボットが解決)](/sites/d8/files/styles/body_max_width/public/2021-05/%E7%A5%9E%E6%88%B8%E5%B8%82%E3%81%AEDX%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%80%80%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%82%92%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9B%E3%82%99%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%8B%E3%82%99%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99.jpg?itok=bv4mb_PE)
民間企業が提供する業務アプリケーションプラットフォームによって開発された、神戸市のチャットボットサービス(出典:神戸市 新型コロナウイルス感染症の不安をチャットボットが解決します)
包括連携協定の締結に合わせて、神戸市は「DXによる働き方改革の推進」「スマートシティ実現に向けたデータ基盤の構築」「デジタル人材の育成」「デジタル技術による学習支援」を推進すると発表。民間企業のDXに関する知見を、行政の幅広い範囲に活用していく方針です。
民間の通信企業と人材交流を進める福井県
福井県は「スマート福井」の実現を目指して、行政のデジタル化を推進しています。2021年度中には、県外からIT人材を招いて、県内企業のDXを推進する「DXオープンラボ」という拠点の開設を目指すなど、インフラへの投資に積極的です。そうしたなかで、福井県は人材育成の面で民間企業と連携しています。
2021年2月には、大手教育系企業が提供するオンライン学習サービスを福井県庁に導入。県庁職員へのIT教育を加速させ、DX人材の育成に取り組んでいます(※2)。また、同年3月には、大手通信企業と連携協定を締結し、人材を招聘してDX人材の育成担当者とすることを検討しています。そのほか、連携によって観光産業の支援や県内の通信環境の整備、農林水産業へのデジタル技術の活用などを推進する方針です (※3)。
全国に先駆けてベンチャー発の電子申請プラットフォームを導入した加賀市
2020年8月、石川県加賀市はベンチャー2社が共同で開発した電子申請プラットフォームを全国で初めて導入しました(※4)。同プラットフォームは、本人確認が必要な行政手続きをオンライン上で可能にするものです。加賀市民は、マイナンバーカードさえあれば、24時間どこからでも行政手続きの申請を行うことができます。
これにより、対面の手続きや書面の作成、押印などが省略され、利便性の高い行政サービスの提供が可能になっています。加賀市は、市が提供する人間ドックの助成金申請の手続きを皮切りに、電子申請の範囲を拡大し、現在では約130種類の行政手続きをオンライン化しています(※5)。また、こうした取り組みにより、加賀市ではマイナンバーカードの普及が急速に進みました。2021年には、市内におけるマイナンバーカードの交付率が50%を超えるなど、全国平均の約30%を大きく上回っています。
2021年5月には、加賀市は同プラットフォームを活用した「e-加賀市民制度」をスタートさせました。この制度は加賀市に実際に居住していなくても、オンライン上でe-加賀市民に登録すれば、加賀市が提供するさまざまな行政サービスを受けられるものです。現在は、加賀市内の温泉地への観光客誘致を目指し、宿泊費の支援やセミオンデマンドタクシーの利用といった行政サービスの提供が検討されています(※6)。
![加賀市による「e-加賀市民制度」の構想](/sites/d8/files/styles/body_max_width/public/2021-05/%E5%8A%A0%E8%B3%80%E5%B8%82%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%80%8Ce-%E5%8A%A0%E8%B3%80%E5%B8%82%E6%B0%91%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A7%8B%E6%83%B3.png?itok=FYhzWnQD)
加賀市による「e-加賀市民制度」の構想(出典:加賀市プレスリリース e-加賀市民制度(加賀版 e-Residency)の提供へ)
外部の知見や技術を取り入れ、効果的にDXを推進
以上の事例から、数々の地方公共団体が民間企業と連携し、行政のデジタル化を推進していることが分かります。まさに、今、私たちの社会はDXに向けて動き出しているのです。
DXはその名の通り、デジタル技術を用いて組織を変革する取り組みです。変革を進めるためには、先に紹介した地方公共団体のように、外部から技術や知見を取り入れることも重要となります。
しかし一方で、急激な変革は負担も伴います。DXを推進する際には、DXの成功事例を参考にしたり、まずはペーパーレス化など着手しやすく、効果の見えやすい取り組みから始めることも効果的です。例えば、ドキュサインの電子署名は少ない初期投資で導入することができ、ペーパーレス化やコスト削減、業務効率化を実現することができます。契約だけでなく、稟議や申請・依頼手続き、アンケートや調査など様々なシーンで利用できるのも特長です。
詳しい電子署名の利用方法や活用事例については、お電話(03-4588-5476)またはメールにてお気軽にお問い合わせください。
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参考: