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実は「50歳」!テレワークの歴史と定着度

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働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、テレワークの普及が急速に進みました。しかし、定着している企業はまだまだ少数派に過ぎないのではないでしょうか。本ブログ記事では、意外にも長いテレワークの歴史を振り返りながら、現在の定着度と今後の継続に向けたポイントを考えてみましょう。

目次

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働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークの普及が進んだと言われています。しかし、実際にテレワークが定着している企業はまだまだ少数派に過ぎません。テレワークには意外にも長い歴史がありますが、日本の労働環境の中ではなかなか当たり前になりにくい現状があります。

そこで今回の記事では、2020年時点でのテレワークの定着度を確認するとともに、テレワークの歴史とこれからについて見ていきたいと思います。

関連記事:きちんと理解できていますか? - テレワークの基礎知識

実は50歳!世界と日本のテレワークの歴史

日本では、テレワークという言葉が働き方改革BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)、感染症対策の文脈で用いられることが多くあります。そのため、テレワークが最近の働き方だと考えている方も多いでしょう。しかし、実はテレワークの歴史は50年近くにも及ぶとされています。まずは、世界と日本におけるテレワークの歴史と変遷についてまとめます。

海外におけるテレワークの歴史

テレワークの起源をどこに求めるのか難しいところもありますが、テレワークを「出勤せずに自宅で仕事をする」という勤務形態であると捉えると、起源は1970年代のアメリカ・ロサンゼルスにまでさかのぼります。

自動車交通量の増加に伴う大気汚染や、石油危機に対するエネルギー不足への懸念から、自動車出勤を回避する目的で一部導入されたとされています。当時は「テレコミュート(Telecommute)」と呼ばれたものの、現代のようなインターネット回線があったわけでもなく、電話や手紙しかコミュニケーション手段が無い中で、広く普及するには至らなかったようです。

その後アメリカで普及が進んだのには、いくつかの災害の影響があったと考えられています。1989年のサンフランシスコ地震、1994年のノースリッジ地震を経て、リスク分散の観点からテレワークに目が向けられるようになりました。さらに2001年の同時多発テロの際には、テレワークを導入していた企業がいち早く事業を再開できたとされ、導入企業が増加したと言われています。もちろん、1990年代から2000年代にかけてインターネット回線の整備が進んだことも大きかったでしょう。

海外のテレワークと雇用の事情

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海外のテレワーク事情を見るにあたって、各地域の雇用環境が関係している点に注意が必要です。

例えば、アメリカではJD(ジョブディスクリプション)によって個人の業務範囲が明確化されています。そのため従業員同士が同じオフィスフロアにいなかったとしても、それぞれの業務を進めやすく、全体としても問題が起こりにくい文化がもともと存在していた、と考えることができます。

一方のヨーロッパでは、高い失業率を背景にITを活用した雇用創出が大きな社会課題でした。2000年には「リスボン宣言」が採択され、ICT技術によるヨーロッパ産業の強化施策が図られるようになります。その一環として、国を超えてEUレベルでテレワークが推し進められたのです。

なお、日本で一般に呼ばれる「テレワーク」ですが、アメリカでは「リモートワーク」と呼ばれることが多いようです。また、ヨーロッパではeWorkと呼ばれるのが一般的です。

バブル期から?日本に合ったテレワークの試行錯誤

日本では、テレワークに似た動きが1990年前後から見られました。当時はバブルに湧いており、都心オフィスの賃料も高騰したことから、郊外にサテライトオフィスを設ける動きがありました。1991年には、現在の日本テレワーク協会の前身に当たる「日本サテライトオフィス協会」が設立されています。

しかし、バブル崩壊とともに賃料の高騰も収まったことから、サテライトオフィスは次々と閉鎖されていきました。その後2000年代に入って家庭への高速回線が普及したこともあり、在宅勤務が少しずつ導入されていきます。

普及した? 「新しい生活様式」におけるテレワークの定着度

2020年に入って新型コロナウイルスの感染が拡大したことに伴い、感染拡大防止の観点からオフィスを閉鎖または出勤者の数を制限せざるを得ず、結果としてテレワークの導入を急遽、進める企業が増えたと考えられます。この数年のデータを参考に、テレワークの普及度を見てみましょう。

労働環境の激変で知名度を上げたテレワーク

東京都は、従業員30人以上の都内企業を対象として、2020年の3月と4月にテレワーク導入率の緊急調査を実施しています。それによると、3月の時点で24.0%だった導入率が4月には62.7%にまで急上昇しています。従業員ベースでも、49.1%の人が何らかの形でテレワークを経験しているという結果が出ました。

さらに言えば、インフラの整備されている大手企業の方が高い導入率となっています。4月には、従業員数300人以上の企業のうち実に8割近くの企業がテレワークを導入していました。

また総務省の通信利用動向調査によると、テレワークを既に導入している企業が2019年段階で20.2%、導入予定のある企業が9.4%となっています。先に挙げた東京都の調査ほどではありませんが、本調査からも少しずつ上昇していることが分かります。新型コロナウイルスの影響を考慮すると、2020年以降さらに導入率が上昇する可能性は高いでしょう。

この結果を見る限り、新型コロナウイルスのパンデミックが日本の労働環境を大きく変えたと言えます。ただし、定着するかの観点ではまだまだ課題は多そうです。

テレワーク推進の課題と対応策

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テレワークを導入していない企業でも、次に来るかもしれないパンデミックや社会情勢によって導入せざるを得ない、あるいは柔軟な働き方が広がる中で今後テレワークが当たり前の世の中になるかもしれません。最後に、これからテレワークの導入を検討している企業が考慮すべきポイントを2点ご紹介します。

労働環境に合致していないと続かない

テレワークは導入するだけではなく、継続させることが必要です。社内の文化や労働環境がテレワークを受け入れるようなものでない限り、継続させることは難しいでしょう。例えば、紙の資料への押印を当然とする文化が社内にあると、どうしてもテレワークだけでは業務が回りません。そのためテレワークの導入とともに業務フローも見直さなければ、テレワークは一時的なものになってしまい継続していくことは難しくなるかもしれません。

実際に、新型コロナウイルスの感染が落ち着くとテレワーク実施率が落ちるのではないかと思わせるデータも出てきています。2020年3月から継続的に調査を行っているパーソル総合研究所によると、5月29日(金)の時点で30.5%だったテレワーク実施率が、週明けの6月1日(月)になると23.0%へ落ちています。(出典:パーソル総合研究所 「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」)

企業がどれだけ業務効率化やワークライフバランスの向上などといったテレワークのメリットを評価し、継続に向けて業務フローや社内の文化を変えられるかによって、日本におけるテレワークの未来は変わってくると言えるでしょう。

デジタルツールが整備されていないと続かない

同じオフィスに従業員がいないのですから、業務を成り立たせるためのインフラ整備が必要不可欠です。特に、セキュリティ対策、コミュニケーションの円滑化などのためのツール導入は必ず検討しましょう。

セキュリティ対策とは、セキュリティソフトをパソコンに導入して常に最新版に更新することはもちろん、ネットワーク設定が鍵です。外部環境から社内のネットワークにアクセスしても盗聴や情報漏えいを起こさないよう、VPN(Virtual Private Network)を導入する企業も多くあります。

コミュニケーションの円滑化については、ファイル共有やチャットツール、Web会議ツールの導入で図ることができます。離れた場所でも仕事や雑談をうまくできれば、信頼関係の構築や業務の効率化に役立てられます。また、電子署名ツールを使うことで、合意・契約プロセスが可視化され、コラボレーションがしやすく、関係者とのやり取りもスムーズになります。

まとめ

テレワークには長い歴史があり、その時折の社会問題や労働環境の変化によって異なる位置づけを与えられてきました。日本ではなかなか導入が進んできませんでしたが、インターネット回線やデジタルツールが充実し、感染症対策をはじめとしたBCP新しい様式での働き方の推進を受けて大きく変わりつつあります。今後のビジネスを考える上で、テレワークでも効率よく業務を行えることが重視されるようになってくるでしょう。

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