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計算機からクラウドまで。知っておきたいデジタルテクノロジーの進化

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クラウドの台頭やAIなど、近年目覚ましい勢いで進化するデジタルテクノロジー。本格的なコンピューターの祖とも言われる「ENIAC」が誕生してから74年あまり、どのような過程を経てデジタルテクノロジーは進化し、ビジネスに変革をもたらしてきたのか。今回は、その変遷や意義について振り返ってみましょう。

目次

集積回路

本格的なコンピューターの祖とも言われる「ENIAC」が誕生してから74年あまり。緩やかに進化してきたコンピューターの発展は、1950年頃に登場した半導体によって加速度的に進みました。本ブログ記事では、コンピューターの歴史から近年のクラウドの台頭やAI(人工知能)といったビジネス変革をもたらすテクノロジーの発展まで、今一度どのような変遷をたどってきたのか振り返ります。

コンピューターの起源となる「計算機」という存在

古代には、天体の動きを予測する手段として「計算機」が発明されていました。これは儀式や占いで天体の位置関係を機械的に示すもので、今のように電気仕掛けではなく手動で動作するものでした。

身近なものとしては「そろばん」があります。バビロニアの時代からあったと言われるこの算術器具は、計算を容易にするものとしてヨーロッパや中国、日本などで広く使われています。

17世紀になると、ブレーズ・パスカル(仏)やライプニッツ(独)らが、歯車を用いた機械式計算機を発明しています。日本では、1902年に矢頭良一が発明した「機械式卓上計算機(自動算盤)」が最初の機械式計算機と言われています。

機械式卓上計算機

電気を動力として動く電気機械式計算機は、19世紀の終わりから開発され始めました。といっても、まだまだアナログで、歯車や電子部品を用いて、電流・電圧の変化や物理的な現象を駆使して作られていました。

この時代で注目したいのが、パンチカードによる情報の集計・記録の誕生です。米国のハーマン・ホレリスは、どこに穴があるかを電気的に検知し、集計・記録する仕組みを開発。ここからパンチカードを採用した統計データ用のマシンが開発されています。

その後、1936年に日本電気(現・NEC)の中島章は、交換機などで用いられたリレー回路をもとにスイッチング理論を発表。現在のコンピューター理論の基礎となるもので、デジタル回路・論理回路が生まれるきっかけとなっています。計算機からコンピューターへのブレイクスルーになったといっても過言ではないでしょう。

「ENIAC」の誕生で計算機からコンピューターへ

昔の巨大コンピューター

1946年ペンシルバニア大学でお披露目された「ENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)」は、コンピューター時代の幕開けを告げるものになりました。総額49万ドル(当時の価格で約2,450万円)をかけて開発された巨大なコンピューターは、当時としては圧倒的な処理速度を有していたそうです。その翌年に、ベル研究所でトランジスタが発明され、1955年に商用機としては初めてトランジスタ式コンピューター「IBM608」をIBMが発表しています。

一方、日本では、1956年に富士写真フイルム(現・富士フイルム)が真空管式の「FUJIC」を、同年に電気試験所がトランジスタ式計算機「ETL Mark III」を完成させています。この年から、カシオ計算機や日本電気、日立製作所、沖電気、東芝、松下電器といったメーカーが電子計算機の開発競争に突入していきました。

集積回路の登場で大きく進化しダウンサイジングへ

1960年代になると、日本のさまざまなメーカーからトランジスタ式計算機が登場。これまでコンピューターというと、大企業や研究所が基幹業務用などに利用していた、メインフレームと呼ばれる大型コンピューターが主力でしたが、オフィスコンピューター(オフコン)やミニコンピューター(ミニコン)といった小型製品が相次いで発表され、一般企業でも導入されるようになりました。

日本でのオフコンの先駆けは日本電気の電子会計機「NEAC-1201」です。その後年々改良が加えられ、国内中小企業に広く普及することになります。世界初のミニコンは1965年に発表された米DEC(現・HP)の「PDP-8」で、それから4年遅れの1969年には、日本の各メーカーからも続々とミニコンが発表されています。

特に小型化に寄与したのが集積回路(IC)の登場です。1968年に誕生したインテルは半導体メモリーの開発に注力し、1970年に世界初のDRAMを発表。そして世界初のマイクロプロセッサー「4004」を1971年に発表しました。翌年には8ビットの「8008」、1978年には16ビットの「8086」が発表されました。

一方、クルマ用のラジオを開発していたモトローラ(現・NXPセミコンダクターズ)は、1950年代に半導体部門を設立し、1974年に8ビットマイクロプロセッサ「MC6800」を発表します。ちなみに当時の企業規模は圧倒的にモトローラのほうが大きく、それに立ち向かうインテルという構図でした。

モトローラが最も注目を集めたのは、1979年に発表した32ビットマイクロプロセッサの「MC68000」(外部は16ビット)でしょう。Apple Computer(現・Apple)の「Macintosh」シリーズやシャープの「X68000」などで採用されましたが、IBMが1981年に発表したパソコン「IBM PC」にインテルの「8088」が採用されたことにより、インテルが急成長することになります。

PC-9801シリーズ誕生とPC/AT互換機旋風

Apple I

1970年代後半になると、個人でもコンピューターを所有したいという機運が高まります。スティーブ・ジョブズのApple Computer Companyが、1976年にマイクロコンピューター「Apple I」を発売。翌年にはApple Computerに社名を変え、世界で初めて個人向けに完成品のマイクロコンピューターである「Apple II」を発表しました。

日本では、1974年に8080を採用したソードの「SMP80/X」が、マイクロコンピューターの先駆けと言われています。その後、1976年に日本電気が安価なトレーニング組み立てキットとして「TK-80」を発売。1978年発売のシャープのセミキット「MZ-80K」は大人気商品となり、マイコンブームの牽引役となりました。

1979年には、日本電気がPC-8001を発表。1982年に発表されたPC-9801は、オフィスのスタンダードマシンとしての地位を築くことになります。1980年代の日本では、電機メーカーがこぞってパソコンを開発しましたが、各メーカー間の互換性はなく、ビジネス用途でシェアを拡大したPC-9800シリーズの天下となりました。

PC-9800シリーズの牙城を崩したのが「DOS/V」の登場です。1990年にはIBMから、翌年にはマイクロソフトからもDOS/Vマシンが供給され、この年から徐々に互換機、いわゆるDOS/Vマシンが市場を席巻していくことになります。

コンピューター同士をつなぐ技術がインターネットへ

ネットワークの概念画像

ここまで、コンピューター本体に関しての進化を話してきましたが、ネットワークについても振り返っていきましょう。

モールス信号や音声によって発展してきた通信技術は、1906年に太平洋を横断する海底ケーブルが敷設されるなど、すでに主要都市とは通信網が形成されていました。

1980年代後半には、個人で所有するパソコンも増えたことから、専用ソフトを用いてホスト局と接続し、ユーザー同士が交流するパソコン通信が盛んに行われるようになりました。多様なホスト局が生まれましたが、基本的には各ホスト局で独立した環境のクローズドネットワークでした。

そんなパソコン通信全盛の中に突如出現したのが「インターネット」です。もともとは米国の大学や研究機関を結ぶARPANETが起源と言われ、コンピューター同士を結び通信するためのプロトコルが開発され、研究者の間で広く自由にネットワークが利用できる環境が構築されました。

通信がアナログからデジタルへ切り替わったのもこの時代で、1988年にNTTがデジタル回線であるISDNサービスを開始。1990年代に入りHTMLとウェブブラウザが誕生。1995年にWindows 95が登場し、「Internet Explorer(IE)」を同梱したことで、一般的にもインターネットの時代が到来することになりました。

コンピューターの進化でAI研究も加速

加速度的な技術開発が進んできたプロセッサですが、20世紀の終わりを告げるころに1つの衝撃が走りました。1997年にIBMの「ディープ・ブルー」がチェスの世界チャンピオンを下したのです。これまで、コンピューターは人間の仕事をサポートするような形で進化してきましたが、そのコンピューターと勝負した人間が敗北を期した瞬間でした。

その後、将棋では2012年引退した元プロ棋士に勝利。囲碁も2016年プロ棋士に勝利してしまいます。コンピューター性能の向上とともに、AI技術の進化によって人間への勝利は数十年も前倒しされてしまいました。

とはいえ、コンピューターが人間の能力すべてを上回ったわけではありません。こうしたゲームでの勝利は、そのゲームに特化したものであり、汎用性はまったくありません。人間のような判断ができるAIの開発は、これからも続いていくことになります。

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クラウドのテクノロジーでビジネスが変わる

コンピューターやネットワークの進化、そして高度なテクノロジーによって、これまで限られたマシンや場所でしか作業できなかったことを、いつでもどこでも作業可能にしたのが、クラウドサービスです。基本的には、ローカル上にソフトやデータを持たずに、インターネットを介したサーバー上で運用されているサービスを指します。

Yahoo!やGoogleといったインターネット企業が生まれ、インターネットが成熟した2006年。サーチエンジン戦略会議において、当時のGoogle CEOであるエリック・シュミットがクラウドのコンセプトに触れたことが、クラウド普及につながったと言われています。

クラウドの登場により、企業の負担も大幅に軽減されることになります。これまでの情報管理は、自社設備内にサーバーを構築して、運用管理する必要がありましたが、クラウドサービスではそうした負担がなくなりコストの削減につながります。

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近年は、あらゆる業務を網羅する形でクラウドサービスが充実してきており、デジタル化、クラウド化の波は大きくなってきています。コロナ禍では政府を中心に「書面・押印・対面」削減へと大きくシフトし、また行政手続きにおける脱ハンコの流れも加速していますが、そうした事態になっても柔軟に対応できるクラウドサービスを活用できる企業が、より一層発展していくのかもしれません。

まとめ

現代では、パソコンよりもさらに小さいスマートフォンが主流になるなど、かつて映画や漫画で描かれていた世界が現実のものとなりつつあります。そして、今後もデジタルテクノロジーの波はまだまだ押し寄せ、さらなる理想郷を実現してくれるはずです。そうした波に乗り遅れないためにも、さまざまなアンテナを張り巡らせ、技術的背景も踏まえて追いかけていくことが、これからのビジネスのキーポイントとなるでしょう。

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