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人事総務のペーパーレス化を促進!2020年10月より年末調整手続の電子化が始まります

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2020年10月より年末調整手続きの電子化が始まります。これにより、従業員および人事総務担当者にとっては様々なメリットがあります。今回は、人事・総務部門の「働き方改革」の一環として、人事総務関連のペーパーレス化を促進することになる「年末調整手続の電子化」について解説します。

目次

紙の書類を確認する人

働き方改革とは、働き方の多様化に対応して労働生産性を高めつつ、女性、高齢者、家族を介護している人、病気療養中の人など多様な人材が働ける「一億総活躍社会」を実現しようとする政府主導の取り組みです。

その働き方改革の実現を推進する目的の一つとして、2018年に税制の見直しが行われました。その中の大きな項目の1つが「税務手続の電子化等の推進」です。2020年以降に実施すべきこととしては、「所得税の確定申告・年末調整手続の電子化」が挙げられています。

今回は、人事・総務部門の「働き方改革」の一環として、人事総務関連のペーパーレス化を促進することになる「年末調整手続の電子化」について解説します。

年末調整電子化とは?

2018年の税制改正は、働き方の多様化や賃上げ・生産性向上などに対応するために、個人所得課税、法人課税、資産課税、消費課税、国際課税といったあらゆる税制を網羅的に見直し、さらに納税環境の整備として納税手続の電子化等を推進するというものです。

納税手続の電子化(=納税手続の電子化等の推進)には2つの施策があります。1つは資本金が1億円を超える「大法人」の電子申告義務化です。

もう1つが、今回のテーマである年末調整手続の電子化です。これは2020年10月1日以降、「源泉徴収義務者(雇用者)の事務負担を軽減し、給与所得者(被用者)の利便性を向上させる観点から、現行制度上、書面で源泉徴収義務者に提出がされている生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整関係書類について、電磁的方法による提出(電子的提出)を可能(「平成30年度 税制改革」より)」にするものです。

これまでは、控除証明書を税務署から書面で受領し、保管、そしてこれらのデータを元に、従業員が自分で支払っている各種保険料など必要事項(場合によっては計算も必要)を申告書に記入する必要がありました。また人事総務側では、申告書の配布・回収や記入内容の確認、源泉徴収税の納付および税務署等への書類提出といった業務が発生していました。

年末調整タスクの流れ

年末調整の電子化により従業員側も人事総務担当者側も、年末のあわただしい時期に発生していた事務処理を簡素化することができます。また紙でのやり取りが発生しないことから、ICTを利用したテレワークでも申告書の提出が容易になります。

何が変わる?年末調整電子化によるメリット

年末調整の電子申請には「年末調整申告書作成用のソフトウェア」(以下、年調ソフト)の利用が前提となります。これを利用することにより従業員と人事総務担当者の双方に大きなメリットがあります。

まず従業員にとっては、住宅ローン控除や保険料控除に必要な書面をデータとして入手することができるようになり、紙の書類の保管が不要になります。また年末調整申告書への記入や控除額の計算などの面倒な手作業が無くなります。電子化された申告書データはオンライン上に保管しておけるので、過去データを流用することで、手間を大いに省くことができ、入力ミスも減ります。

人事総務担当者は、申告書原本を全従業員に配布し、記入したものを回収する手間が無くなります。控除額の計算も年調ソフトが自動的に行うので、控除額の検算が不要になり、記載ミスそのものも減るので、従業員への修正依頼および再チェックの手間がほとんど無くなります。

なお年調ソフトに関しては、国税庁が提供する標準ソフトがありますが、「仕様公開を通じ同様の仕組みを取り込んだ民間のソフトウェア」(「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)」より)の利用も可能です。

さらに、SAP Success Factor や SmartHR などの給与システムと連携させることにより、自動でデータが反映されるようになります。1件1件、担当者が打ち込む必要が無くなり、こちらの入力ミスも無くなります。

年末調整業務は従業員にとっては、住宅ローン控除や保険料控除に必要な書面を揃え、さらに忙しい年末に重なることもあり煩わしい作業の一つでした。また同じ理由で、人事総務担当者にとっても苦労の多い業務でした。早く出すように依頼しても仕事優先で後回しにされがちだからです。その上、全従業員が対象ですから、人事総務担当者はもちろんのこと、全社トータルで膨大な工数がかかりました。電子化により双方の手間が省け、こうした工数のほとんどが削減できるのであれば、喜ぶべきことだと言えます。

年末調整電子化の利用方法(準備とポイント)

パソコンのキーボードを打つ手

  年末調整電子化に向けては、あらかじめ管轄の税務署に会社側が「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請」を行い、税務署長の承認を受けておく必要があります。申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認または承認しないことの決定通知がなければ、各種申告書類を印刷することなく、電子データによる年末調整を行えるようになります。

ただし従業員にとってもメリットの大きい年末調整業務の電子化ですが、会社側の独断で進めることはできません。年末調整の電子化にあたっては、従業員に事前に周知する必要があります。従業員一人ひとりがその内容を確認しているか把握するために、以下の内容を盛り込んだ同意書や承諾書にサインをしてもらうことをお勧めします。

  • 電子交付する書類の名称

  • 電子交付の方法(電子メール、ウェブサイトなど)

  • 記録形式(PDF、XML、CSVなど)

  • 交付予定日および開始日

ドキュサインの電子署名を活用することで、同意書や承諾書を全従業員に一括送信し、オンライン上で書面に署名や押印をしてもらうことができます。また、開封状況や署名が済んでいるか等ステータスの確認がリアルタイムでできるので、業務の効率化にもつながります。

その他の準備としては、前述した年調ソフトの導入や給与システムとの連携が必要となります。

まとめ

政府はマイナンバーカードを利用した個人の電子申請の普及を加速すべく、自治体ポイントによる消費活性化策や健康保険証として利用可能にするなどの普及策を計画しています。マイナンバーカードの普及が進めば、公的機関への申請・登録等の手続は急速に電子化が進み、年末調整の電子化だけでなく、今後様々な申請業務の電子化が予想されます。

こういった世の中の変化に対して、デジタルトランスフォーメーションが進んでおらず、紙の書類が多く残る会社は、顧客や取引先、従業員などには魅力度の低い会社に映ってしまうかもしれません。そうならないためにも、今回ご紹介した年末調整の電子化のように、紙からデジタルへの移行が益々重要になってくるでしょう。

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