海外と取引する際に知っておきたい契約のイロハ
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、入国規制やフライトの運休が各国で行われ、国際的な商取引にも大きな影響が出ています。こうした背景からも、契約を電子化し、オンラインやリモートへと切り替えていくことにはメリットがあります。今回はグローバルビジネスにおける契約実務の基本と、電子契約の利便性についてご紹介します。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、入国規制やフライトの運休が各国で行われ、国際的な商取引にも大きな影響が出ています。こうした背景からも、契約を電子化し、オンラインやリモートへと切り替えていくことにはメリットがあります。今回はグローバルビジネスにおける契約実務の基本と、海外取引における電子契約化の利点を紹介します。
国際的な契約実務の落とし穴と、その予防策
契約にかかわる実務では、たとえ同じ言語・同じ商習慣が共有できる相手であっても、綿密なコミュニケーションを必要とします。国をまたぐ商取引となれば、そうした努力が一層重要となることは言うまでもありません。
グローバルビジネスにおける契約で特に重要となるポイントは以下のようなものです。
取引の前提となる事実を詳しく文書化する
まず注意が必要となるのは、国内企業との商取引ではあまり意識されることのない契約の前提部分についても、グローバルな商取引では詳細な取り決めが必要となることがある点です。例えば、準拠法や管轄裁判所などの取り決めが、グローバルビジネスでは特に重要な意味を持つ場合があります。
そもそも契約書の記載内容をどれだけ充実させようとも、ありとあらゆる紛争場面を想定し、すべてを網羅的に書き出すことは不可能です。日本国内でのビジネスの場合は、日本国の民法や商法などの法律が、契約書で明確にされていない事項を補う役割を果たします。
しかし、グローバルビジネスでは個別の契約の基礎となる準拠法がどちらの国の法律となるかは自明ではありません。こうした点が曖昧なまま取引が進むことは、万一の紛争場面で争いが泥沼化するリスクとなるのです。
どちらの国の法律に準拠し、最終的な司法判断はどちらの国の裁判所が行うのかといった点は、あらかじめ明確にしておく必要があります。
ほかにも、取引先(契約先)の企業が実在するのかといった点や、相手方の担当者が企業の代表(決裁)権を有するのかといった点も、国内の場合と異なるため、曖昧なまま話が進んでしまうこともあります。これらについてもあらかじめ注意を向けておくべきでしょう。
自国の商習慣や常識を当たり前のものにしない
個別の契約書の内容を補うものは、法律だけではありません。例えば、その国・その業界内での商習慣や社会常識といったものも、契約内容を補完する役割を果たします。
提供される商品やサービスの品質基準においても、同一の商習慣が共有できず、議論が平行線をたどるような場合には、争いが泥沼化するリスクが高まります。グローバルビジネスにおいて、相手国の商法や会社法だけでなく、文化や国民性などについての理解が重要となる理由も、こうした点にあるといえます。
契約書は、契約書に記載されている文言には表れない「無数の前提」に支えられて、初めて成り立つものです。こうした事柄を言語化していく努力が、グローバルな商取引では特に重要となるのです。
サービスの品質基準や、検収の合格基準などについて文言だけで明示することは、簡単ではありません。文言だけでは説明しきれないような事柄は、過去の取引実績などを具体的に示し、認識のズレを埋めていく努力が特に大切です。
電子契約をグローバルビジネスに用いるメリットとは
では、こうしたグローバルビジネスにて電子契約を活用するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
書類の郵送にかかるコストや時間が節約できる
国際郵便は、郵便代が高くなるのはもちろん、書類の往復に大きな時間的なロスが発生してしまいがちです。国際郵便にかかる日数については、日本郵政のサイト「お届け日数表」が参考になります。
本サイトによると、ひとえに国際郵便といっても国・地域によって配達期間の目安は大きく異なっていることがわかります。しかし通常の国際航空小包を利用しても、1週間前後の期間が目安となる国が多く、国内郵便に比べるとかなりの日数を要することがわかるでしょう。
郵便物が先方に届くまでに1週間のタイムラグがあることを想像すると、スピード感をもって商談を進めたい場面には適していないでしょう。
とはいえ、ただでさえトラブルが起こりやすく、深刻化しやすいのがグローバルビジネスの契約実務です。書類の作成そのものを省いたり、契約相手とのコミュニケーションの機会そのものを減らしたりしてしまうのは好ましくありません。
契約書の受け渡しにかかる手続き上のコストを理由に、契約内容の認識合わせそのものがおろそかになってしまうなら、むしろ本末転倒です。
しかし、ここに電子契約を取り入れれば、契約手続きは全てオンライン上で完結します。郵送代などのコストや受け渡しの時間的ロスを大幅に削減することが可能となるのです。
契約データの一元管理が容易になる
紙の契約書の場合、取引実績のある国が増えてきたり、海外拠点が各国に設立されたりした際に起こりがちな問題が、契約データが担当者ごと、または拠点ごとで分散して管理されるようになってしまうことです。その結果、契約データの一元化が難しくなり、バックオフィス業務が非効率になってしまうケースが多く見られます。
こうした課題に対して電子契約は、最初から契約データをすべて電子的に管理できるというメリットがあります。場所や時間に関係なく、一元管理された契約データにアクセスすることができ、電子ログを残すことによって、効率的にデータを管理できる体制がつくれるのです。
ビッグデータ解析を行うような場合でも、そのデータがアナログで保管されているならば、まずデジタルデータに置き換える必要があります。データの管理体制を充実させることは、ビッグデータ解析を行うための大前提でもあり、近年重要性が高まっていることはよく知られる通りです。
電子契約はグローバルスタンダード
現在、デジタルで契約を締結することは、グローバルビジネスにおけるスタンダードとして広く浸透してきています。
今後、グローバルビジネスをスムーズに拡大、推進していくためにも、あらかじめこうしたスタンダードに対応できる体制を整えておくことが重要です。
日本でも、デジタル庁の創設や、行政手続きでの押印廃止など、さまざまな施策が政府主導で進められようとしています。こうした取り組みの背景には、契約実務のあり方をグローバルスタンダードに合わせていく意図もあると考えられています。
電子契約が現在のグローバルスタンダードであり、日本でも今後さらに普及していく見通しであることなどを踏まえれば、その対応はますます重要になっていくでしょう。
まとめ
ドキュサインの電子署名は世界180カ国66万社以上の組織・団体で導入されており、グローバルな契約実務では特に高い普及率を誇ります。また、44言語に対応しており、海外とのやり取りがある、または海外展開を考えている多くの企業に選ばれている理由の一つとなっています。
グローバルビジネスにおける契約実務のあり方は、契約相手の国や地域によって異なる面が多分にあり、言語や商習慣の違いによって、契約にまつわる交渉が複雑化しがちです。そうしたコミュニケーションの努力を極力契約の内容やビジネスの中身に向け、コスト削減や契約データの一元管理を実現するために、電子署名の導入を検討してみてはいかがでしょうか。